貯蓄性保険は「お金の増え方」で見直す

貯蓄性がある契約については「今後のお金の増え方」だけで判断することをおすすめします。

保険の貯蓄商品では、たとえば、30年の積立期間中、20年くらい元本割れが続くこともあります。契約初期に発生する販売手数料が高いことが要因です。

そこで元本割れ期間中は「解約したら損だ」と継続にこだわる人もいます。お気持ちはわかるつもりです。とはいえ、すでに代理店の口座に入った手数料などを取り戻すことは不可能です。「これからお金が増えるのかどうか」が大事なはずです。

コロナ禍で資金繰りが悪化し解約を迫られるケースも

仮に1年後くらいから、確実にお金が増えるのであれば継続してもいいかもしれません。しかし、数年間でもマイナスが続くようであれば、解約あるいは「払い済(保険料の支払をやめると、小型化した契約が残り、その後、解約しても相応の払戻金があります)」にしたほうが良いと思います。

「すぐに使う予定がないお金だ、10年くらい我慢したら元が取れる」と決断を先送りする間に、コロナ禍で資金繰りが厳しくなり、解約を余儀なくされた人もいるのです。

損が出る場合でも「不利な契約に使ったお金と時間が最も少ないのは今だ。早く気がついて良かった」と考えるのが正しいはずです。

そもそも「長期的には払い戻し率が100%を超える」といった保険商品の評価が、金融の世界では非常識であることも強調しておきます。

貨幣価値の変動や中途解約時に損が出るリスクなどを加味し、将来の払い戻し率は、額面より大幅に割り引いて評価する必要があるからです。(額面でも)100%に届くまで長い年月を要する時点でダメなのです。