口呼吸になると感染症のリスクが高まる
新型コロナウイルス感染症の拡大防止対策として、緊急事態宣言が発出された今年5月のことです。熊本県でマスクの実態調査を行ったところ(「熊本日日新聞」2020年5月16日号より)、マスクをつけていると口呼吸になる人が増えていることがわかりました。
その数は、なんと25%増。男女別に見てみると、男性はマスクによって口呼吸になった人が1.3倍、女性では2.5倍にも増えていました。年代別で見ると、若い人ほど口呼吸になっていました。特に10代以下は、43%もの人がマスクの下で口呼吸をしていたのです。原因はわかりませんが、若い女性ほど、マスクを付けると口呼吸をしやすくなるというわけです。
本来、人は鼻で呼吸をします(鼻呼吸)。鼻の中の鼻毛や粘膜がフィルターとなり、ウイルス、細菌、ホコリなどの有害物質が、体の中に入らないようにするためです。鼻の中を通ることで、空気は適度な湿度・温度に調整されます。
しかし、口呼吸になると、有害物質を含んだ空気が直接、肺に入りやすくなります。乾燥した空気はノドや肺にダメージを与え、ウイルス感染しやすい環境を生み出すのです。
他にも、口呼吸は口の中を乾燥させ、唾液の量を減らします。こうなると唾液の「殺菌」「消毒」「洗浄」作用が効かなくなるため、細菌が増えます。最終的には、免疫防御機構を持つリンパ節に悪い影響を与え、体の免疫力を下げます。
感染症防止のためにマスクをつけているのに、口呼吸になってしまうと免疫力が下がり、逆に感染リスクが高まってしまうのです。マスクをつけた時は、意識して鼻呼吸するように心がけましょう。
口呼吸になって口の中で細菌が増えると、口臭も強くなります。通常の歯ブラシに加えて、塩化セチルピリジウム(CPC)が含まれた洗口剤を使ったうがいをしたり、舌表面の垢(舌苔)を、舌ブラシなどで取り除いてください。歯科医院の口腔ケアも、口の中の菌を徹底的に除去してくれるのでオススメです。