最大の問題点は“コミュニケーション”
経済同友会の105社へのアンケート調査結果(2020年4月20~24日)では、ほぼすべての会社でテレワークが実践されているが、課題として、「込み入ったやりとりは、在宅勤務では難しい」「テレワークによる生産性の低下に対する抜本的な働き方改革」などが挙げられている。この回答の中の「込み入ったやりとりが難しい」、つまりコミュニケーションがとりづらいというのは、テレワークがもつ最大の問題点だろう。
テレワークが増えてくると、直接会うことが減り、上司と部下のコミュニケーションのレベルは大きく低下する。コロナ以前であれば、上司と部下が顔を合わせ、お互いのその日の気分や体調も見ながら仕事ができた。しかしテレワークとなるとそうはいかない。机を並べていないので、上司と部下でお互いの状態がよくわからない。
テレワークのひとつとして、ZoomやTeamsといったアプリを用いたテレビ会議がよく取り上げられる。しかし、会社はいつも会議をしているわけではないから、在宅や社外で業務をしている部下の様子はわからない。労務管理として、パソコンの前からの離席状況を記録するという会社があるようだが、そのような監視体制で業務のモチベーションが上がるかは疑問である。
「カーテンがかわいいね」「さぼってないだろうな」
このような問題点をかかえたテレワークであるが、今まで想定されなかった新たなハラスメントが出てきた。テレワーク・ハラスメント、テレハラである。テレハラは、リモートワーク・ハラスメント(リモハラ)と言われることもある。
実例としては、テレワークをしている社員から、「上司に、カーテンの模様がかわいいねと言われた」「オンライン飲み会に一部の人だけが呼ばれる」「子供がうるさいから黙らせろと言われた」「見えないところでさぼってないだろうなとか、服装がだらしないと言われた」というようなケースが報告されている。
このような画面に映った部屋の様子を指摘することは、部下のプライバシーを侵害し不快感を与えるのでセクハラ、パワハラになりうる。
「子供がうるさいから黙らせろ」というのも、時と場合によるので一概に問題だとも言い切れないが、乱暴すぎる言い方は部下に不快感を与えるだろう。
さぼってないだろうなとか、服装のことを指摘するのも、行き過ぎた言動として部下に不快感を与えるのでパワハラになる可能性がある。