禁煙手当20万円で喫煙率ゼロ

今振り返ると大病を経験するまでは、朝6時から夜10時半まで働きっぱなし。社長がこんな働き方ですから、従業員はみんな迷惑していたでしょう。会社が強く大きくなるためには、社員一人ひとりが心身ともに健康な状態で働けることが重要です。そこで当社では、経済産業省が定める「健康経営優良法人制度」を目標として健康増進に取り組み、20年初めて申請して認定を受けることができました。

この取り組みの中で、いくつかの課題が見えてきました。例えば定期健康診断については、受診率は100%だったのですが、受診結果に対してのフォローができていなかった。現在では産業医や健康保険組合と協力して、健診でメタボリックシンドロームと診断されたり、数値に異常が認められたりした従業員には、個別面談で健康指導を行っています。また、従業員全員に健康管理のためのアプリを無償提供しています。このアプリには、過去の健診結果が参照できる機能もあり、健康状態の経年変化が確認できます。自身の健康状態について関心を持つための意識づけになっていると思います。

当社ならではのユニークな制度としては「禁煙手当」があります。受動喫煙対策の一環として改正健康増進法が成立したのは2018年ですが、武蔵野では2000年頃から管理職全員に禁煙を義務付けています。また、タバコを吸わない社員には禁煙手当として年間最大20万円支給しています。喫煙を罰するのではなく、従業員自身が「禁煙してよかった」と実感できる禁煙手当という方法で社内の禁煙化を進めてきたのです。その結果、現在では社内喫煙率はゼロになっています。

有給休暇については、新たに「有休消化日」を導入しました。これは、「年間有給休暇の75%は、会社が定めた日に休みを取るという制度です。ただ、100%強制的に取らせてしまうと、病気の際に有休を使えなくなるので有休消化率が75%になるように設定しました。土日を含めて9日間連続で休める長期休暇制度は以前からありましたが、その対象は幹部に限られていました。今回は、一般社員も対象に加え、年に一度、水・木・金・土・日と5連休が取れるようにしています。

今後も、新たな制度の導入と効果検証を行って、健康経営の推進を図っていきたいですね。

(構成=梅澤 聡 撮影=小田駿一)
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