年商1億円の会社は誰でも作れ、年収1000万円は誰でもなれる 

さて、どんどん行きましょう。続いてのショッキングな事実はこちらです。

「年商1億円の会社は誰でもつくれるし、年収1,000万円なんて誰でもなれる」

中小企業庁のホームページの中に「中小企業実態基本調査」という項目があります。そこを紐解いてみるとわかりますが、「一企業当たり売上高」つまり、中小企業の平均年商は年によって多少のバラツキはあるものの、僕がこのサイトを見始めた10年、15年前からずっと1億4000万円~1億7000万円くらいが平均です。

例として令和元年の調査の概要数字(平成30年度)を、少しここに書いておきます。

・一企業当たりの売上高は1.56億円(前年度比9.0%減)、一企業当たりの経常利益は659万円(同10.7%減)。
・法人企業の一企業当たりの売上高は、3億1196万円(前年度比10.1%減)、個人企業の一企業当たりの売上高は、1374万円(同2.0%増)。
・法人企業の一企業当たりの従業者数は15.7人(前年度比4.8%減)で、個人企業の一企業当たりの従業者数は2.6人(同2.0%減)。
・社長(個人事業主)について、年齢別割合が最も大きいのは60歳代(30.0%)、在任期間別割合が最も大きいのは30年以上(35.8%)。

ちょっとわかりにくいのは「法人企業」と「個人企業」の違いくらいでしょうか。

つまり、法人として会社登記している「法人企業」か、「青色申告や白色申告などを行っている、いわゆる個人事業主」かの違いです。

別の言い方をすると、法人企業に限った場合、実は平均年商は1億円ですらなくて、3億円です。「平均点30点のテストで10点を取るのがそんなに大変か?」ということをここでは言いたいのです。

そして、ここでも先程の理屈を補強する材料がありました。「在任期間別割合が最も大きいのは30年以上(35.8%)」。10年で90%が倒産するのではなかったのでしょうか。

同じように、年収1000万円の人の割合を知っていますか? さすがにこちらは平均以下とは言いませんが、「民間給与実態統計調査」で見るとだいたい5%前後、20人に1人くらいいます。一クラス40人の中の2人です。これは、果たしてレアキャラでしょうか。どうしても到達できない水準でしょうか。1万人に1人ではなく、20人に1人。なんとかなりそうな気がしませんか?

はい、なんとかなります。それがあなたにとってのクリア条件で、適正なステージで戦い、生き残り、レベルを上げていくことができれば。

世間一般に信じられているまことしやかなウソの実態なんて、こんなものなのです。

変化を恐れず、幸せに生き残っていく

リスクとリターンは歪みが生じるものだから、起業はほぼ勝てるゲームになり得る。そして、その選択がそんなに高いハードルでないこと、レアでないことがわかったとして、それでもあなたが「起業が怖い」と思う理由は何でしょうか。その対処法をお話しして、次に移りたいと思います。

そもそも、先程の「9割が10年以内に倒産」というネガティブ情報が蔓延している理由は、僕たちの脳の構造のせいです。

基本的に僕達の本能部分は原始時代となんら変わっていませんから、「あそこに猛獣がいる」とか、「この毒キノコは危ない」というネガティブ情報のほうが、生死に関わるため、重要なこととして信じ込むし、周りに伝えやすいという性質があります。

スマホもSNSもない時代には、ガセネタであっても、ネガティブ情報を鵜呑みにしたほうが、生存確率が上がったからです。「あそこに猛獣がいる」という情報がガセネタでも、信じて近づかないほうが、生存できた、ということです。

西村豪庸著『SURVIVE 不確実性の高い新時代における生き残り戦略』(プレジデント社)
西村豪庸著『SURVIVE 不確実性の高い新時代における生き残り戦略』(プレジデント社)

同じように、変化を怖がるのも、原始時代の脳構造によるものです。

昨日と同じ道を通れば、実はそこが流砂だった、とか猛獣の巣だった、といったことは少なくなります。だから、変化は怖いし、ネガティブ情報を全部鵜呑みにして、信じたほうが種の本能に近いのです。

しかし、残念ながら今は21世紀。連載当初の設定での猫型ロボットの誕生日は過ぎてしまうくらいの新時代です。

ガセネタのネガティブ情報を鵜呑みにして、昨日と同じ今日が来ると思って変化しないことが、一番のリスクになるかもしれない時代です。こんな時代を幸せに生き残っていくためには、変化を恐れず、進化を続けて状況に適応、対応していくことです。

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