英王室のメーガン妃が異例の投票

11月3日投票の米大統領選で激戦の上、現職のドナルド・トランプ氏を破ったジョー・バイデン氏は7日夜(日本時間8日午前)に行った演説で勝利を宣言した。選挙人のうち、過半数の270人を獲得すれば勝利とされる方式のもと、「バイデン氏は290人を獲得(11日午前現在)」と伝えられており、これでほぼ結果は確定したとみて良いだろう。

一方、トランプ氏は依然として「不正選挙」と非難を続け、敗北はまだ認めていない。

こうした状況の中、イギリスのメディアで大統領選をめぐり角度が少々違う話題が取り沙汰されている。2018年に英王室のヘンリー王子と結婚したメーガン妃が「バイデン氏に投票した」というのだ。

ヘンリー英王子(右)とメーガン妃(イギリス・ロンドン=2020年3月5日)
写真=AFP/時事通信フォト
ヘンリー英王子(右)とメーガン妃(イギリス・ロンドン=2020年3月5日)

英王室には「選挙権も被選挙権も行使しない」という歴史的な不文律があり、「政治的に中立を保つべき」という考え方のもと、ロイヤルファミリーがこれまでの選挙で投票を行った例はない。

もともと米国籍で、現在は王子と共に米国で暮らしているメーガン妃は、3日の投票日までに、郵便で投票。「投票先は確認されていないが、筋金入りの反トランプ大統領派のため、民主党のバイデン前副大統領であることは確実」とみられている。

メーガン妃はこれまでも、王子との結婚前にトランプ氏について「分断をあおる」とトーク番組で批判し、トランプ氏の不興を買った経緯がある。米共和党下院議員のジェイソン・スミス氏は、「(メーガン妃の政治的発言は)米国の選挙を妨害するもの」と断罪。駐米英国大使館を通じ、「英国政府は2人を王室から追い出すよう、エリザベス女王に促すべきだ」と書簡を送ったという。

メーガン妃はなぜ異例の投票を行ったのか。その理由は明らかにされていないが、夫妻の置かれている立場と英国政府の現状を分析すると、意外なシナリオが見えてくる。

“殿下”ではないが民間人でもない微妙な立場

エリザベス女王の孫でウィリアム王子の弟であるヘンリー王子は、立場がすでに微妙な位置にある。

よく知られているように、ヘンリー・メーガン夫妻は今年3月末をもって王室の公務を引退している。これはスポーツ選手のように自ら現役から退くといった性格のものではなく、英王室側が同夫妻の処遇を示したという経緯がある。