ドライマウスの人は、インフルや新型コロナに感染しやすい

もう一つ、感染症予防で忘れてはいけないのが、唾液の効用だ。

唾液には天然の抗生物質といわれるラクトフェリンや免疫物質IgA抗体など細菌やウイルスの侵入を防ぐ物質が含まれ、傷ついた粘膜を修復する働きがある。また、発がん物質の毒性を消す酵素の存在も確認されている。

唾液が減少すると口腔内細菌が繁殖しやすく、口の中の粘膜も傷つきやすくなる。そうなるとインフルエンザや新型コロナウイルスが侵入しやすい環境になってしまうのだ。

つまり、唾液が減少して口の中が乾くドライマウスの人は、インフルエンザや新型コロナウイルスに感染しやすいといえる。

唾液量は年齢を重ねるとともに減少していく。ストレスや生活習慣病、自己免疫疾患(シェーグレン症候群)、薬の副作用なども原因になる。口が渇く人は一度自分の健康状態をチェックしてみたらどうだろう。

唾液の分泌を促すには、唾液腺のマッサージや口腔ケアも効果がある。

舌を磨いて「舌苔」を落とせばこれもまた感染予防につながる

また、口腔ケアで舌の汚れを落とせば、新型コロナウイルスの感染予防になるということもわかってきた。

舌クリーニング
写真=iStock.com/AndreyPopov
※写真はイメージです

新型コロナウイルスは細胞表面のタンパク質ACE受容体にくっついて細胞に侵入する。このACE受容体は口腔粘膜にも存在しているが、特に舌の表面に多いという。

唾液の研究で知られる槻木恵一・神奈川歯科大学副学長は「歯と口の健康シンポジウム2020」(日本歯科医師会主催)で、舌に付く細菌の塊である舌苔ぜったいには新型コロナウイルスが感染しやすくなる酵素が大量に存在すると話している。

口の中が汚れていて舌苔が多い人は新型コロナウイルスに感染しやすいということになる。逆に、口腔ケアで舌を磨いて舌苔を落とせばこれもまた感染予防につながるわけだ。

新型コロナ感染症やインフルエンザ予防の基本は「ワクチン、マスク、手洗い」とされているが、ここに口腔ケアを加えると効果はより高まる。ワクチンや治療薬の効果も限定的だ。まずは手軽にできる予防から始めてみてはどうだろう。

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