「私の事務所は政界一厳しい」それでも定着率が高い理由

私の事務所は「政界一、厳しい」ことでも有名らしく、笑い話になりますが、たとえば自民党の税制調査会会長(当時)の甘利明先生は、事務所のスタッフがたるんでいると「菅事務所に出すぞ」と活を入れているとも聞きました。

別冊プレジデントムック『第99代総理大臣 菅義偉の人生相談』(プレジデント社)
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確かに私は仕事に関して厳しいと思います。私自身、11年間秘書を務めた小此木彦三郎先生の下で、「政治とは何たるか、政治家の秘書はどうあるべきか」を厳しく叩き込まれました。若い秘書たちにも私の経験や学んだことを少しでも多く吸収して仕事に生かしてもらいたいため、徹底的に指導します。その結果、「菅事務所は厳しい」という評価も出てくるのでしょう。

ただ、その一方で、一度事務所に入ったスタッフの定着率がとても高いのも、私の事務所の特徴です。新たなキャリアへの挑戦や地方議員への出馬のために事務所を巣立っていくスタッフももちろんいますし、そういう人には私もエールを送ってきましたが、多くのスタッフが不満で辞めることもなく、日々頑張ってくれています。

これだけ「厳しい」事務所と言われながらスタッフが定着している一因は、私とスタッフがきちんとコミュニケーションを取れていて、スタッフが私の思いを理解してくれているからだと思っています。

「上司が厳しくなってしまう理由」を把握してみては

普段からのコミュニケーションがあれば、仕事の指示一つとっても、個々のスタッフの考え、得意分野、伸ばしたいスキルなどを勘案しつつ、「おまえには初めてだけど、やってみろ」といった言葉を添えた指示が出せます。「これくらいできて当たり前だ、黙ってやれ」と上から押し付けるよりも、指示を受ける側の姿勢も前向きになり、成果も目に見えて変わってきます。

少し手前みそになりましたが、あなたの場合も、「上司が厳しくなってしまう理由」を把握することが不可欠です。双方の認識のギャップを少しでも埋めるために、まずは仲間も誘って、上司を飲み会や食事会に連れ出してみてはどうでしょうか。

日本酒
写真=iStock.com/kanzilyou
※写真はイメージです

そこで、あなたの世代が抱くビジョンや、描いている未来像についての話を聞けば、上司の方もあなたの世代に会社の将来、ひいては日本の未来を託しても何の心配もない、と安心してくれるのではないでしょうか。

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