中国では、外国からの入国者には集中隔離施設での厳格な隔離が義務付けられている。隔離された人はどのような生活を送っているのか。中国語翻訳者でライターの沢井メグ氏が、上海で14日間の隔離生活を送ったビジネスマンに取材した――。
部屋はツインルーム。広さは十分だ。
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10年以上ぶりの中国はコロナ禍で様変わりしていた

世界中で新型コロナウイルスが猛威を振るうなか、ウイルスの感染がおおむね抑制されているとされる中国。その中国・山東省青島市で2020年10月12日、新たに新型コロナウイルスの感染者6名が確認された。これは入国者を除いた国内の感染例として2カ月ぶりのことで、病院内での集団感染が疑われているという。

感染確認後すぐ、市民約1000万人のPCR検査を行うことが発表された。感染者6名に対し1000万人の検査。大規模なPCR検査は4日間で完了した。このシラミ潰し、もしくはローラー作戦とも言える対策からは中国の「ウイルスを絶対に広げない」という強い意志を感じることができるだろう。

その強い方針は海外からの入国者に対しても同様だ。10月19日現在、外国からの入国者には集中隔離施設での厳格な隔離が義務付けられている。この徹底した隔離措置は「ウイルスをおおむね抑制」という結果を生み出したひとつの要因であることは間違いない。

だが、それは入国者、特にさほど中国になじみのない日本人にとってはあまりにも厳しい環境だった。実際に10月2日~10月16日まで隔離生活を送った日本人ビジネスマン・平田慧輔さん(30代、仮名)に話を聞いた。

日本国内の企業に勤める平田さんは、この度、北京市から新幹線で約30分の港町・天津市への赴任が決まり上海経由で向かうことになった。平田さんは学生時代に中国での滞在歴があるが、前回、中国に来たのは10年以上前のことだ。このコロナ禍ですっかり様変わりした様子に緊張が走ったという。中国での隔離生活で、平田さんは日本人として直面した「特に驚いたこと」が4つあったという。最大の困難は意外な場所に潜んでいた。