「プロデューサー」による手厚いケア
2020年のコロナ禍による外出自粛、緊急事態宣言によって自宅で過ごす人や時間が増えたことで、ライブ配信の視聴時間は伸びた。伸びるライブ配信市場の中でも、17LIVE株式会社は、2019年11月時点の売上が日本市場の約63.9%を占める。17LIVEでは、この5~6月で配信者数が以前と比べて10倍に増加したという。
17LIVE株式会社では、200人ほどいる社員の約半数が「ライバープロデューサー」として、ライバー(配信者)になりたい人、もしくはライバーとして日々活躍している人をサポートする仕事をしている。どういう配信が視聴者から求められているのか、配信内容やオーディエンスとのコミュニケーションの取り方などについてコンサルティングしているのだ。
同社発表の「コロナ禍における副業の月平均6万円以上を稼ぐライバー」(2020年9月)によると、17LIVE内で単月で6万円以上の報酬を得ているライバーは8430人であり、5月時点での4206人から倍増していた。単月で3万円以上の報酬を得ているライバーも12303人と、やはり前回調査時から約2倍となっていた。
伸びるライブ配信市場の中でも17LIVEが群を抜いている理由は、配信者の特性や良さを見極め、適切なサポートができていることではないだろうか。17LIVEは「だれもがなにかのアーティスト」を標榜しているが、一般の人のそのような特性や良さを引き出すことができていることで、支持されている可能性があるのだ。
「投げ銭」で本業より稼ぐライバーも
17LIVEを語る上ではずせないのが、配信者に視聴者からベイビーコインというポイントを投げ銭できる機能だ。視聴者はベイビーコインを購入し配信者に投げることによって応援でき、配信者は視聴者から贈られたベイビーコインを換金して報酬を得る仕組みだ。
投げ銭機能は、YouTubeのスーパーチャット(スパチャ)やSHOWROOMなどにもあり、配信者を応援できる機能として支持されている。Instagramは過去にも一定時間でメッセージが消える「Snapchat」が流行したら同様の機能を持つ「ストーリーズ」を、ショート動画アプリ「TikTok」が人気になったらやはり同様の機能を持つ「リール」を搭載したが、今回も同様に投げ銭できる「バッジ」機能を試験的にスタートしている。
前述のように、17LIVEで稼ぐ配信者は少なくない。コロナ禍の最中である5月、本業であるキャバ嬢の仕事を控えていた「みゆう」さんは、ライブ配信によって史上最高値である2億ポイントを獲得している。コインの「換金率」は人によって違うため正確な収益は不明だが、換金率が低くても2000万円程度、高い場合は1億円程度だとみられている。
緊急事態宣言で外出自粛となっていても、ライブ配信ならスマホ一台あれば手軽に始められる。しかも収入につながるとあり、コロナ禍で財政事情が厳しくなったスポーツ・音楽・演劇・エンタメ業界にとっては活路となる可能性があるのだ。