※本稿は、横江公美『隠れトランプのアメリカ コロナ感染から奇跡のカムバックでトランプが勝つ⁉』(扶桑社)の一部を再編集したものです。

2020年10月26日、ホワイトハウスのブルールームのバルコニーで、最高裁判事に就任することを宣誓したエイミー・コニー・バレット判事(右)に向かってジェスチャーをするドナルド・トランプ米大統領(左)。
写真=EPA/時事通信フォト
2020年10月26日、ホワイトハウスのブルールームのバルコニーで、最高裁判事に就任することを宣誓したエイミー・コニー・バレット判事(右)に向かってジェスチャーをするドナルド・トランプ米大統領(左)。

ミレニアル世代の7割近くがマリファナ合法化を支持

今はミレニアル世代の時代である。2000年以降に成人した人たちが主役だ。

2014年にシンクタンクのピュー研究所が発表したレポートでは、より具体的に「1981~1996年」に生まれた人をミレニアル世代と定義づけている。この世代は物心ついたころには、パソコンやスマホなどのデジタル機器が身近に溢れていたデジタルネイティブだ。情報収集はインターネットというよりもSNSが中心で、広告よりもインフルエンサーの口コミを信用する。

自らもSNSでの発信に積極的で体験を共有することを好むため、モノに対する執着が薄く、体験にお金を使う傾向がある。そのため、インターネット上のプラットフォームを利用して自分や他人の資産を共有するシェアリングエコノミーや、サービス・商品の“所有”ではなく継続的な利用や体験を実現するプラットフォームとしてサブスクリプションを好む。

こうした特徴から個人の自由や多様性を尊重する傾向にあり、同性婚の合法化やアメリカに入国済みの不法移民を許容する割合は他の世代と比較して最も高い。前出のピュー研究所のレポートには「4割弱がタトゥーを入れている」という話や7割近くがマリファナの合法化を支持しているという記述もある。

シンボルは、マーク・ザッカーバーグ

さらにミレニアル世代は他の世代に比べて両親との距離が近く、家族関係が良好だとされる。質実剛健なお父さんを中心とした「古きよき時代」の家族像とは大きく異なる。おのずと、政治信条は共和党よりも民主党寄りという人が多くなる。そんな彼らにとって、オバマこそが「多様性あるアメリカ」を象徴するリーダーなのだ。

一方でミレニアル世代のシンボルとなっているのは1984年生まれで同世代のマーク・ザッカーバーグだ。言わずと知れたフェイスブックの共同創業者兼CEOである。誰もが発信者となりうるSNSを広め、世代・人種・国籍・ジェンダー・出自などに関係なく人々が繋がりを深めるプラットフォームをつくりあげた。ミレニアル世代の考えを体現した人物だ。

そのザッカーバーグは2017年5月に行ったハーバード大学卒業式でのスピーチで、ミレニアル世代について次のように語っている。

「私たちミレニアル世代は、自分だけが目標を持って生きることだけでは満足しない。誰もが目的を持てるようにすることを私たちは目指している」

ネットワーク上の繋がりとコミュニティを大事にし、人々と協力して問題解決に当たることを求めるミレニアル世代を端的に表現したのだ。