1日24時間をどう使えば質の高い仕事ができるのか。弁護士の谷原誠氏は「作家の村上春樹さんのルーティンが参考になります。規律を守り、集中すべきときに集中し、適度な息抜きをして翌日に備える習慣が成果をあげ続ける秘密です」という――。

※本稿は、谷原誠『時間を増やす思考法』(フォレスト出版)の一部を再編集したものです。

村上春樹氏
写真=The New York Times/Redux/アフロ

最高のパフォーマンスを生み出すスケジューリングとは?

1日をどう使うかは、悩ましい問題です。

ビジネスパーソンは、スケジューリングにより1日の時間の使い方を管理していますが、その使い方が職業によって異なることは言うまでもありません。

会社員は、通常、始業時間と就業時間が決まっており、決まった時間、指示を受けながら仕事をしなければなりません。一方、フリーランスの方は、納期までに成果物を完成できればいつ仕事をするかは自由です。

私は弁護士事務所の代表をしていますが、基本的には仕事の時間は自分で決めます。始業時間と就業時間は、はっきりとは決まっていません。毎日の仕事を自分でスケジューリングして決めていくことができます。

しかし、そこで気づくことがあります。時間が比較的自由になるといっても、どの時間帯に何をするかは、ベストな形がだいたい決まってくるということです。

では、「自由業」の人たちの時間の使い方は、どうでしょうか。気になるところです。

典型的な自由業として多くの人が思いつくのが専業の作家ではないでしょうか。そこで紹介するのが、日本を代表する小説家、村上春樹氏の1日の使い方です。

村上氏の主な仕事はもちろん小説を書くことです。原稿を書くという行為については、いつでもどこでもできるもので、時間と場所の制約はありません。

昔の小説家のイメージといえば、書きたいときに書き、気持ちが乗らなければ書かない。そして、締め切り寸前には編集者から矢の催促。温泉旅館やホテルで缶詰めになって、灰皿をタバコの吸い殻でいっぱいにしながら夜遅くまで書きまくるといったところでしょうか。

しかし、村上氏の仕事はそれとは正反対です。