村上春樹は朝4時に起き、原稿用紙10枚の執筆をして、運動をする

村上氏は、長編小説を書いているときは、毎日朝4時に起きて即、パソコンの前に座り、原稿を書きはじめ、4~5時間、ひたすら執筆します。

この原稿の量は、かならず原稿用紙10枚程度と決めていて、短くても長くてもいけません。筆が進まなくても書き切り、逆にもっと書けそうでもピタッとやめるそうです。

その後、走るか泳ぐか、必ず1時間程度運動をします。昼すぎからは自由な時間として本を読んだり、音楽を聴いたり、レコードを買いに行ったり、料理をしたりします。そして夜9時頃には寝て、翌日の仕事に備えます。長編小説を書いている時期は、このような生活を、だいたい小説の第一稿が書きあがる半年間くらいの間、休みもとらず毎日判で押したように繰り返すそうです。

そのような執筆スタイルを貫いている理由を聞かれた際、このように答えています。

「書くためには、守るべき自分自身の規律を作り、しっかりと確立させる必要があるんです」

村上春樹氏
(写真=The New York Times/Redux/アフロ)

長編小説の執筆は長丁場です。1冊、2冊で力尽きる作家も多い中、村上氏は、1979年のデビュー以来ずっと活躍しつづけ、ベストセラーを次々と生み出し、今や新作の発表を世界中のファンが待ち望む作家になりました。長く仕事を続け、成果を上げるためには、行き当たりばったりの仕事の仕方では身体も精神も持たないということを、本人がよくわかっていたのです。

そして、実は、規則正しい執筆スタイルを持つ有名作家は村上春樹氏だけではありませんでした。

たとえば、ヴィクトル・ユーゴーの1日は、夜明けとともに起き、入れたてのコーヒーと生卵2つを飲み、部屋にこもって11時まで執筆したあと、冷たい水で体を洗います。12時に家族や来客と一緒にランチを食べ、昼食後は2時間の散歩か、浜辺で運動をし、床屋(毎日通う)へ行き、帰宅したらまた執筆をするか、手紙の返事を書きます。その後、家族や友人と夕食を食べ、カード遊びなどをする、というものでした。

チャールズ・ディケンズの1日は、7時起床、8時朝食、9時から14時まで執筆、その間に会話などはせず黙々と昼食を食べます。執筆は1日2000語を書くと決めていました。14時から17時まで散歩、18時に夕食、家族とすごし、0時に寝る、というものでした。

フランツ・カフカの1日は、8時から14時半頃まで保険局員として事務所に勤務し、勤務後は15時半まで昼食をとり、そのあと19時半まで寝ます。19時半から10分間運動し、1時間散歩をし、家族で夕食をとり、22時半頃から深夜1時か3時頃まで執筆、また軽く運動して寝る、というものでした。

スティーブン・キングの1日は、朝8時から11時半か13時半頃まで執筆、1日2000語を書くと決めています。そのあとは、昼寝をしたり、手紙を書いたり、読書をしたり、家族とすごしたり、テレビでレッドソックスの試合を見たりしてすごす、というものです。

いかがでしょうか。

共通することは、みな、最高のパフォーマンスを発揮できるよう、集中すべきときに集中し、適度な息抜きをして翌日の仕事に備えるという、自分でベストと思える時間管理を確立しているということです。