文在寅大統領と朴槿恵前大統領。全く違う新旧韓国トップに共通するのが、北朝鮮との統一に明るい未来を見ていることだ。研究者の春木育美さんはその理由を「韓国が遠からず、『世界でもっとも老いた国』になるから」という。韓国で急速に進む超少子化と、深刻な影響とは——。(第1回/全3回)
*本稿は、春木育美『韓国社会の現在 超少子化、貧困・孤立化、デジタル化』(中公新書)の一部を再編集したものです。
日本の少子高齢化が緩やかに見える
韓国統計庁の「将来人口推計」によれば、近未来の韓国は、人口構造が極端に歪んだ社会となる。具体的にみていこう。
韓国の近未来図は、少子高齢化が加速度的に進んだ社会である。この点は日本も同様である。WHOの発表(2018)によれば、平均寿命は日本1位、韓国9位で、世界トップランクである(2016年時点)。今後、高齢者の層はさらに厚みを増し、生まれる子どもの数はますます先細る。
両国を待ち受ける未来は、国民の2〜3人にひとりが高齢者という、いまだかつて経験したことのない高齢者大国となることだ。
ただ、そうしたなかでも韓国と日本では、異なる点が一つある。図表1と図表2はそれぞれ韓国と日本の人口割合の推移と予測を示したものである。
日本の少子高齢化が緩やかに見えてくるほど、韓国は今後、類をみない猛スピードで人口構造が変化する。
一般に、国の総人口に占める高齢者(65歳以上)の人口割合を示す高齢化率が7%を超えた社会を「高齢化社会」、14%以上から「高齢社会」、21%以上から「超高齢社会」と定義づけられている。日本ではその移行に1970年から94年までの24年間を要した。ところが、韓国は2000年に7.2%を超え、それから18年で14%を超えた。