議会の意識改革への挑戦はどうか。県議会で知事与党の会派「愛みやざき」所属の図師博規県議が打ち明ける。

「初めての議会では、議員を挑発し、何時間、何日かかろうが、県民のため議論し尽くすというファイティングポーズを取っていた。一問一答方式を導入したのも、台本の読み合わせの議会に辟易としていて、お互いに真剣勝負でと言いたかったのだと思う。だけど、ロスも多いし、議会も停まる。正直なところ、最近は知事のほうが答弁書を見ている時間が長いという気がしている」

戦う姿勢を失い、対議会でも対県庁でも、相手と妥協し、組織任せにするほうがうまくいくという意識に変わりつつあるのだろうか。図師は「それはないと思う」と言いながら、自身が耳にした東国原のこんな嘆息を紹介する。

「裁量で動かせる予算がほとんどない。経常支出でがんじがらめの中で政策を謳っていくのは困難だ。その中でいかに切り詰め、効率化を図るか。使い道は県庁職員を信用して任せざるを得ない」と。

知名度が低かった宮崎県が有名になった。県の特産物が爆発的に売れ出した。県民であることに誇りを持てるようになった。こんな「東国原効果」は誰もが高く認める。だが、「戦わない改革者」という隠された側面が与える失望感は「東国原効果」を帳消しにしかねない。

それだけでなく、民主党宮崎県連代表の井上紀代子(宮崎県議)は「知事には生活感覚がない。掲げる政策的なものは必ずといっていいほどそこが欠落している」と語る。一例として、県が中心になってつくったエコクリーンプラザみやざきという関係市町村のゴミ焼却施設の汚水漏れ発生時の姿勢を取り上げた。

「迷惑施設は住民のみなさんの反対がすごく強い。だから、長年、話し合いを重ね、公害協定を結んでやっと出発した。ところが、問題が起きて初めて知事が住民の方と会ったとき、『ゴミの受け入れはしてほしくない』と言われ、ちょっとびっくりして、『受け入れ拒否ですか』と、そんなことがあるんですかみたいなことを言った。知事は生活している者の普通の感覚を持ったほうがいい」