裏ワザ2「自分のマイナス情報」の意識的流布

リストラで会社が恐れることはユニオン絡みの労働紛争とか訴訟やトラブル(自殺者、刑事事件)の発生とそれをマスコミの話題にされることだ。

「住宅ローンや教育ローンだけでなくサラ金にも多額の借金があるみたいだ」「学生時代に自殺未遂を2回起こしたんだって」「奥さんが精神的に弱いそうだ」といったマイナスの個人情報を意識して流すのが一つ。「親戚に弁護士がいる」「彼を怒らすと自暴自棄になって手に負えなくなる」「上司の住所や家族関係は調べ済みなんだと」「何かあれば徹底的に争うらしい」「彼は何か部長の弱みを握っているようだ」など、彼をリストラすると手強い、彼をリストラすると心中しかねない、といったイメージ情報を流すのも手段だ。

人事も上司も人の子。ほとんどが初めての経験で、できればこんなことやりたくない。だけどやらないと自分の身が危ないからトラブルなくやりぬきたい。したがって、あいつには間違っても個人的にかかわりたくない、と敬遠され嫌がられればいいのだ。

ただ、これは諸刃の剣になる危険性がある。上司の性格や考え方を十分心得たうえでやらないとしっぺ返しにあう可能性も。ある人が机の上に、緊急連絡先の一つに某ユニオンの名前と電話番号を記しておいたところ、真っ先にリストラ候補に選ばれたそうだ。

オフィスの噂話
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裏ワザ3「ご注進役」になれ

リストラの噂が流れだすと、寄ると触ると人が集まり、情報通と称する人からいろんな情報が流れる。

必ず出てくるのは、いざリストラになった場合の社員の抵抗感を少なくするために、会社が労組とつるんで意図的に流す、今期赤字見込み数百億といったニュースだ。次期社長候補が辞めたとか、銀行が見限ったといったたぐいの情報も出てくる。

リストラ候補になりたくない連中は、ライバルを引きずり下ろすために不倫とか使い込みといったデマや退職情報を流して、足を引っ張りおとしめる。

この時期、なぞのアルファベットが横行することがある。Uはユニオンであり、Pはパラシュートを意味する「天の声」だ。「会社側(人事や上司)と通じて、情報を売る人」がSになる。自分から売り込んで、リストラ対象にはしないという身の安全の保証と引き換えにSになるケースと、人事にいる友人から頼まれる場合もある。

助けるふりをし、情報を提供しようとする人の中にSが混じっているのだ。職場にもいると思うべし。うかつなことは発言できないのだ。混沌とした社内状況の中、頼りになる人かそうでないかを見極めるのは難しい。一人一人が生き延びるのに必死なのだから。

ここでも見分け方の一つは、「リストラ時に、退職するかどうか」の一点を聞き出そうとする輩だ。これは上司や人事への大きな手土産になり、「ご注進、ご注進」となる。