コーヒーチェーン大手のスターバックスとタリーズが、同じタイミングでお茶の新商品を発売した。両社がコーヒー以外に力を入れる背景には何があるのか。経済ジャーナリストの高井尚之氏が取材した――。

世界の茶生産量は10年前に比べて約43%増

大手カフェチェーンの「スターバックス コーヒー」と「タリーズコーヒー」が、相次いでティーメニューの新商品を発表、「茶系ドリンク」に注力し始めた。

スタバとタリーズは国内店舗数で1位と4位だ。現在スタバは1580店以上、タリーズは750店以上を展開する。ともに女性客が多いのも特徴だ。

その両社が、同時期にティーに注力し始めたのはなぜか。

理由のひとつは、「タピオカブーム」だ。現在は人気のピークを過ぎたが、ブームで間口は広がり、消費者は(無意識のうちに)タピオカドリンクのベースとなる茶系への関心が増した。実際、2019年の茶生産量は全世界で過去最高の614万9600トンとなり、10年前に比べて約43%も増えた(ITC=国際茶業委員会調べ)。

各社はどうやって茶系飲料を訴求しているのか。その時代性と消費者意識の変化をお伝えしたい。

スタバは中目黒の「ティバーナ」を六本木でも展開

7月1日、スターバックスが六本木に新しいスタイルの店をオープンさせた。

正式店舗名は「スターバックス コーヒー 六本木ヒルズ メトロハット/ハリウッドプラザ店」という。本稿では通称の「ティバーナ」(TEAVANA)で記したい。

スターバックス コーヒー 六本木ヒルズ メトロハット/ハリウッドプラザ店。商品説明会でも、バリスタが目の前でシェイクしてくれた。
写真=筆者撮影
スターバックス コーヒー 六本木ヒルズ メトロハット/ハリウッドプラザ店。商品説明会でも、バリスタが目の前でシェイクしてくれた。

この店は、紅茶をはじめ、さまざまな茶系ドリンクを前面に打ち出す。コーヒーも飲めるが、主力はティーだ。同社の表現を借りれば「色鮮やかで香り豊かな“ティー”を多彩なビバレッジで展開」となる。来店客層として、近隣で働く女性も意識した。

オープンして3カ月近くたった。新型コロナウイルスの影響で多くの都心店舗が苦戦する中、女性客も増えて浸透してきたという。