専門家も慌てて「にわか」で勉強している

【岩田】確かにそうなんです。コロナに関しても今、素人の方から面白いアイデアが出てきています。今朝のニュースで観たんですが、ある学校では熱中症対策とコロナウイルス対策を両立させるために、「子どもたちは傘を差して登校する」ことにしたそうです。日傘で日光が遮られますし、傘を差すことでお互いが近づけなくなるから、ソーシャルディスタンスを保てるんですね。とても面白いアイデアだと感心しましたし、専門家からは出てこない発想だと思いました。

内田樹・岩田健太郎『コロナと生きる』(朝日新書)
内田樹・岩田健太郎『コロナと生きる』(朝日新書)

感染症の専門家といっても普段何をやってるかというと、患者さんの検査と薬を出すことがメインの仕事です。だから例えば、「コロナ対策のために、飛行機の空調やエアコンの設定をどうすればいいでしょうか」なんて聞かれても、正確には答えられないんです。航空機内の空調システムまで知悉している専門家は、非常に少数派で、旅行医学という専門分野のさらに細かいエアロメディシンという領域を勉強した人だけです。感染症のプロでもそこまでやっていた人は本当に少数派でしょう。慌てて「にわか」で勉強した人はいると思いますが。

テレビに出ている専門家も、よく知らないことを聞かれたら、慌てて文献を読んでにわか勉強して「10年前から知ってますよ」みたいな顔して言ってる人がほとんどなんですよ(笑)。実際の話、マスクがどれぐらいウイルスを防ぐかといった重要な知識も、前々から勉強してる人はあまりいませんでした。みんな急いで勉強して、にわか専門家として意見を述べているだけなんです。専門家とそうでない人の差は、案外大きくはない。少なくとも、特定のトピックにおいては。

だから、素人といわれている人たちがコロナについてあれやこれや言うのは当然だと思うし、全員がコロナには利害関係があるわけですから、出てきたアイデアは真面目に検討すべきだと僕は思います。

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