節電が励行されるなか、涼をとる手段としてアイスクリームが注目されている。国内の年間販売金額は1994年に4296億円の最高額を記録したが、2003年までは減少を続けた。が、その後は商品の多様化や味の向上などもあって回復。特に昨年は、4063億円を達成、史上2番目の販売額となり、今年も市場の伸びが期待されていた。

1世帯当たりのアイスクリーム支出と平均気温

1世帯当たりのアイスクリーム支出と平均気温

そこにきての東日本大震災。日本アイスクリーム協会によると、3月の実績は前年比87%にとどまったという。専務理事の渡部恭久氏は「春先は夏場に向けた新商品が市場に出る時期だが、資材の不足と計画停電を懸念しての買い控えで伸び悩んだ。しかし、4月は109%に回復。また、今年は暑さが早くきたことから、夏場の需要増を見込んだ」と語る。

また同協会では10年、10代から60代の男女各300人にインターネット調査を行った。その結果「アイスクリームが好き」という声が97.7%にも上った。さらに、お菓子や飲み物を対象とした好きなデザート調査でも97年から14年連続で1位(キング・オブ・デザート)を獲得している。渡部氏は「そこで“アイスBiz”をキーワードに『部下の人心掌握にも効果的』などと訴えてきた」と話す。

ところで、アイスクリームの月別支出金額を見ると、7月と8月が突出しており、年間支出総額の30%強を占めていることがわかる。しかし例年、お盆を過ぎるとニーズも落ち始める。それ以降は残暑頼み。いずれにしても、これからアイスクリームが売れるか否かは天気次第だ。

(ライヴ・アート=図版作成)