現代はモノがあふれている。だから平成生まれの「さとり世代」は無欲だともいわれる。それは本当なのだろうか。カルチャースタディーズ研究所代表の三浦展氏は、「実はさとり世代のほうが、氷河期世代やバブル世代に比べて高級品を持ちたいと思っている人が多い」という——。

※本稿は三浦展『コロナが加速する格差消費 分断される階層の真実』(朝日新書)の一部を再編集したものです。

ショッピングをする3人の女性
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高級車には乗らないものの…

平成生まれは「ゆとり世代」や「さとり世代」と言われる。

ゆとり世代は、ゆとり教育を受けたので、個性重視で、できないことがあっても平気という価値観ということ。たとえば誰でも鉄棒で逆上がりくらいはできないとねえ、という考えはない。最低これくらいは誰でもできるでしょ、とは思わないのである。

さとり世代は、バブル世代である親から見ると無欲でさとりを開いているみたいに見えるから。バブル世代が20代のころは、高級車を買うとか、みんなでテニスやスキーに行くとか、クリスマスイブに湾岸のホテルを予約して、レストランでフランス料理を食べるとかの派手な消費生活を送っていた人も多いので、自分の子どもを見て驚くらしいのだ。

たしかにバブル世代とくらべれば、さとっているとも言えるだろう。

だが、三菱総合研究所「生活者市場予測システム」(以下「mif」)によると、平成世代が特に意欲がないとか、消費をしないと言い切れるデータはあまりない。

たとえば「金持ちになり、高級品を持ちたい」人は「とてもそう思う」「そう思う」の合計で平成世代は39%おり(男女計)、氷河期世代の34%より多いし、バブル世代の28%よりかなり多い(図表1)。

3世代別・上昇志向型の価値観の比較

「人生の勝ち組になりたい」も平成世代は51%であり、氷河期世代の41%やバブル世代の34%よりかなり多い。