2000年ハイテクバブルでの成功は「結果オーライ」

過去のバフェット氏の投資で私が注目した点を2つ挙げておこう。

2000年のハイテクバブルの際には、「理解できないものには投資しない」として、ハイテク株への投資を回避する、と宣言したことを鮮明に覚えている。その後、ハイテク株は棒上げ状態となり、「バフェットの目が曇り始めた」といわれた。しかし、最終的にハイテク株は暴落し、バフェット氏の見方が正しかったと称賛された。

だが、よく考えると、ハイテク株はいったん上昇している。それもものすごい上げである。この相場に参加していなかったのは、投資家としてはどうかと思われる。

結果は正しかったが、その途中の相当の利益を捨てている。この点は明確にしておく必要があるだろう。

コロナですべてが狂った

また、今回のコロナ禍での投資判断にも注目しておくべきだろう。バフェット氏は、それまでに投資していたデルタ航空、アメリカン航空、ユナイテッド航空、サウスウエスト航空の株式を「戦略的撤退」として大きく損切りしたことは記憶に新しい。

航空産業における経済危機の概念
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コロナ禍以前の状態であれば、豊かになった人々が海外旅行に出かけるなど、航空業界の未来は明るく見えていたことも事実である。また、グローバル化の進展で人々の移動はますます増えるようにみえた。そのため、航空株は安定的な収入をもたらすとの予測はあながち間違いとはいえない。

ところが、コロナによりバフェット氏の判断は完全に覆された