中国と韓国は戦勝国ではない

たとえば、中国と韓国は、「日本はアメリカおよび連合国だけでなく、自分たちの『国』とも戦って負けたのだから、自分たちは戦争賠償を求めるなど戦勝国としての権利を持っている」と主張しています。

しかし、戦後秩序を決めたサンフランシスコ講和会議において、両国は日本と戦争状態にあった「国」とも、戦勝国とも認められませんでした。

そもそも韓国にいたっては日本の一部でした。したがって、戦後の日本に対する権利や請求権などを定めたこの条約の署名国になっていません。にもかかわらず両国は、これはアメリカが勝手に決めたことで無視できると考えています。

とりわけ韓国は、1965年に2国間条約である日韓基本条約を結んで「両締約国(日本と韓国)及びその国民の財産、権利及び利益並びに両締約国及び国民の間の請求権の問題が(中略)最終的かつ完全に解決されたこととなること」を確認したにもかかわらず、「朝鮮人慰安婦」や「朝鮮人戦時労働者」の問題を常に持ち出しているのはご存じの通りです。

日本のマスメディアは、こういった誤った歴史認識を正すどころか、むしろこれらを肯定する報道をしています。それらが、とくに韓国、中国に利用された結果、日本は領土や補償や外交の問題で不利な立場に立たされ、不当な扱いを受ける事態に立ち至っています。

「GHQのマインドセット」に陥る日本のマスコミと教育

欧米の公文書館所蔵の歴史的資料に照らしてみれば、このような言説はまったくの虚偽なのは明白です。私はこれらの公文書に基づいてこのような言説が誤りであることをこれまで雑誌論文や著書に書いて明らかにしてきました。新著『日本人はなぜ自虐的になったのか』もその一冊です。

しかしながら、日本のマスメディアや教育はいまだに前述の戦勝史観の影響下にあるため、国民の多くがGHQの設定したマインドセット(教育、プロパガンダ、先入観から作られる思考様式)に陥ったままなのです。

つまり戦後75年経ってなお「敗戦国」としての贖罪意識を持ち続けている。アメリカは心理戦について戦前、戦時中を通してずっと研究と実践を行っていました。GHQは、その研究成果に基づいて手腕を存分に発揮したわけです。

国民が何十年も嘘を信じ込まされている

こうした話をすると、「日本人はバカではないのだから、そんな70年以上も前のものに騙され続けることなんてあり得ない」という人がいます。

“リベラル”を自称する人に多いようです(本来のリベラルではない)。こういう人は、先の戦争について少しでも戦勝史観から外れた見方を示す相手に対して「右翼だ」とか「陰謀論者だ」などといったレッテルを貼ります。いかにWGIPの影響が大きいかを示す現象だともいえるでしょう。