「ラジオの雑用係」がディズニーCEOになれた理由

ロバート・アイガー著、関美和訳『ディズニーCEOが実践する10の原則』(早川書房)
ロバート・アイガー『ディズニーCEOが実践する10の原則』(早川書房)

続いて、4位以下から、注目の書籍をご紹介します。

第6位『ディズニーCEOが実践する10の原則』は、ウォルト・ディズニー・カンパニーの現会長であり前CEOである、ロバート・アイガー氏の半生と哲学を描いたものです。

アイガー氏のキャリアの始まりは、なんとABCラジオの雑用係だったといいます。ですが、そこからさまざまな人間と出会うなかで多くのことを学び、成功を収めてきました。もちろん、成功に至るまでの道のりは大変険しいものでした。アイガー氏がトップに立つまでのディズニーは、今よりも規模が小さいうえ、数年に渡って内紛が続いているような有様だったのですから。

そうした困難に、アイガー氏はどう立ち向かってきたのか。本書では、アイガー氏が実践する「10の原則」が、惜しげもなく公開されています。その根底にあるのは「相手への敬意」。社内外問わず、相手に対して常に敬意を払い続けてきたアイガー氏だからこそ、ウォルト・ディズニー・カンパニーをここまで大きく成長させることができたのでしょう。企業のトップやチームを率いるリーダーはもちろんのこと、組織で働くすべてのビジネスパーソンに読んでほしい一冊です。

大人気講義の熱量が詰まった1冊

瀧本哲史『2020年6月30日にまたここで会おう』(星海社)
瀧本哲史『2020年6月30日にまたここで会おう』(星海社)

第8位『2020年6月30日にまたここで会おう』も、大きく注目を集めている一冊です。2019年、エンジェル投資家や経営コンサルタント、教育者として活躍してきた瀧本哲史氏が、病のためご逝去されました。瀧本氏の京都大学での「起業論」の講義は、当時立ち見が出るほどの人気だったといいます。

その熱狂を全国の若者にも届けるため、全国の若者を対象に、東京大学で特別講義が開かれました。本書はそのときの熱量を凝縮し、一冊にまとめたものです。瀧本氏の切れ味鋭い言葉の数々や、徹底されたロジック、そして行間からは若者たちへの熱い期待が感じられ、まるでその場に参加しているような感覚になってきます。

瀧本氏がこの講義をしたのは、2012年6月30日のことでした。「8年後にまたここで会いましょう」と言った瀧本氏は、残念ながらもうこの世におりません。ですがその遺志は、ウィズコロナ、アフターコロナの時代において、私たちを力強く後押ししてくれます。