BRICsの一角、ロシア。経済発展はめざましいものの、そこでのビジネスは政府高官との関係やマフィアの存在など、力がものをいう。だが、そんな環境下で売上高倍増を目標に掲げ、シェアNo.1サムスンに真っ向から挑む「闘魂」エリートがいる。その実態は――。
ロシア攻略に闘志を燃やす師弟
「向こう3年間で売上高を倍増か……上等じゃないか。あの男ならきっとやってくれるはずだ。ソニーらしい勝ち方で」
日比賢一郎●ソニーCIS(ロシアおよび旧ソ連圏を商圏とする販売会社)社長。高崎経済大学卒業、1989年ソニー入社。メキシコシティ、モスクワ、マイアミへの赴任を経て、2003年設計3部担当部長、マーケティング部LCD-TV担当部長を歴任。05年より現職。モスクワは2度目の赴任となる。最初の赴任時には夢に終わった「年間売上高1ビリオンドル」を06年に達成した。大学時代から極真会の空手を続け、大学のクラブでは飽きたらずに町の道場荒らしもしたという猛者。
BRICs諸国(ブラジル、ロシア、インド、中国)での年間売上高を2010年度末までに2兆円に倍増させる。08年6月、ソニーのH・ストリンガー会長兼CEOが中期経営方針を発表したとき、本社グローバルマーケティング部門(GMD)のBRICs担当統括部長、筒井隆司(50歳)はロシアで苦しい日々をともに戦った一人の男を浮かべた。
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