「日本はコンテンツの宝庫」だと確信
著者は実践を踏まえて「日本はコンテンツの宝庫」だと確信する。しかし、それを運用し、ビジネスを構築するシステムが不十分なのだ。
象徴的なエピソードがある。変形するロボットの映画『トランスフォーマー』は、シリーズ累計で約5000億円を稼ぎ出し、関連商品の売り上げを加えれば1兆円を優に超える。このキャラクターの原型は、日本の玩具メーカー、タカラトミーのフィギュアだった。ところが同社は日本での玩具販売権だけを残し、その他の権利をすべて米国の大手玩具メーカーに売却したため、ブームの果実を得られなかったという。
日本のコンテンツの海外での売り上げは、全体の約15%を占めるにすぎない。創る人は大勢いるが、海外に出ていく腰の軽いプロデューサーが少ないからだ。日本は〈当たりくじを持っている。ずっと前から持っているが、うまく換金できていない。その価値に気づいていないからだ。しかし、早く換金しないと、換金期限が来てしまう〉。
キーワードは「デジタル」と「海外」だと著者は言う。いまやオンラインゲームがゲーム市場の68%を占めている。スマホ専用マンガも登場した。新鮮なコンテンツを引っ提げて海外に打って出なければ、文化GDP世界1位など夢のまた夢だろう。
著者は尻を叩く。〈打たないシュートは入らない〉。