残念な人に共通する「かちこち系マインドセット」

マインドセットとは、「経験や思いこみによって決まる心の持ち方」のことだ。言いかえれば、「君が世界や周囲をどう見ているか」っていうことになる。じつはこのマインドセットってやつが、ぼくたちにブレーキをかけていることがあるんだ。

鏡の中に映る自分をライオンだと思い込む猫。自尊心や欲望の概念
写真=iStock.com/canbedone
※写真はイメージです

スタンフォード大学教授のキャロル・ドゥエックは、若者たちのマインドセットについてたくさん調査を行なった。ドゥエックの研究はすばらしくて(彼女はマインドセットをいろいろな面から研究する心理学者だ)、マインドセットこそが君にブレーキをかけたり、あるいは逆に、何かが上手になれるように手助けしてくれたりする張本人だと示したんだ。

実際に若い人たちに対して実験を行ない、何が君のやる気にブレーキをかけるか、また、何が夢をかなえるのを応援してくれるのかを「科学的」に調べた。その答えを証明するために多くの調査が行われ、膨大なエビデンス(証拠)が集められた。

その結果、ドゥエックはどんな答えを見つけたと思う? マインドセットにはふたつのタイプがあることが証明された。ひとつは、君が何かを上手になるのをどんどん助けてくれるもの。もうひとつは、反対に君の努力に水を差すものだ。

世界の約30億人が損している「心の持ち方」

じゃあ、まず問題のあるほうから説明するよ。それは「かちこち系マインドセット」(「硬直マインドセット」とも呼ばれる)といって、何かスゴイことをやってのけるのは、生まれつき才能や資質がある者に限られるという「心の持ち方」なんだ。つまり、何かの達人になる人には、この世に生まれ落ちた瞬間にもう才能が脳に備わっているという考え方だ。

「かちこち系マインドセット」では、才能のあるなしは生まれつき決まっていて、どんなに頑張って取り組んでも、それはほとんど変えられないと考える。

マシュー・サイド『きみはスゴイぜ! 一生使える「自信」をつくる本』(飛鳥新社)
マシュー・サイド『きみはスゴイぜ! 一生使える「自信」をつくる本』(飛鳥新社)

どこに問題があるかわかるかな? もしも向き不向きが生まれつき決まっているのなら、どんなに一生懸命に練習しても上達する余地がないことになる。つまり努力は、やってもムダなことの代表というわけだ。

ものすごく残念なことに、ドゥエック先生によると、ぼくたちの40%以上が「かちこち系マインドセット」を持っているという。

40%っていうのはかなり多いよ。世界じゅうで29億6000万人が「かちこち系」でものを考えているということだ。この数はヨーロッパと北アメリカの人口を合わせたよりも多い。大問題じゃないか? ありえない数の人が「かちこち系マインドセット」にハマってるってことだ。