ジュリー社長はこの非常事態をどう対処するのか
激震はジャニーズ事務所だけに留まらなかった。大物タレントたちが事務所を離れ、独立するケースが続発している。
“失敗しない女”の女優、米倉涼子(44)が3月でオスカープロモーションを退社し、これからは個人事務所を設立してやっていくと宣言した。
オスカー三人娘、女優の忽那汐里もオスカープロモーションを昨年12月で退社したし、剛力彩芽も恋人・前澤友作と個人事務所をつくり、独立すると噂されている。ハリウッドでも活躍した女優、栗山千明(35)もスペースクラフトから独立したことをツイッターで公表した。
「4月1日、公式サイトで所属事務所・スターダストプロモーションからの退社を発表した女優の柴咲コウ(38)。今後は、自身が代表取締役社長を務めるレトロワグラース株式会社(以下レ社)で女優業のマネジメントを行うという」(週刊文春4/16号)
加えて、こうした芸能プロダクションの多くは高齢化と、世襲の失敗で後継者が育たないという難題を抱えている。今もこの世界を牛耳っていて芸能界のドンといわれる周防郁雄も80歳近い。
かつて周防は私にこういった。「この世界は一代限り」、引き継ぐのは無理だというのである。ジャニーズ事務所を世襲したジュリー社長は、公取委問題でも、手越、長瀬の退所の時にも、表に出て自分の意見を語ってはいない。表に出たがらないのはジャニー喜多川社長も同じだったが、今の事務所には奥の院に籠っていられるほどの余裕はないはずだ。
こうした非常事態にどう対処するのか、彼女のleadershipとaccountability(説明責任)が求められている。
因習を残すプロダクションに不満を抱くのは当然だ
反社会的勢力と密な関係を結び、自分の所のタレントを馬車馬のように働かせ、上前をはねていた時代の残滓をいまだに抱える芸能プロも多くあるようだ。
外からの情報に接する機会も多く、タレント自らがツイッターなどで発信できる時代に、古い因習を残したプロダクションに不満を抱き、独立しようとするのは当然である。2020年はジャニーズ事務所崩壊の年として記憶されるだろう。
ジャニー喜多川という“特異”な美意識をもった人間が、自分の感性だけを信じて発掘してきた少年たちが、ジャニーズ事務所を帝国に築き上げたのだ。その人間がいなくなれば、その特異な感性も消えてなくなる。万が一にも、第二のSMAPや嵐は出てこない。
元々少年たちだけのアイドルグループというコンセプトがここまで続いてきたことが“奇跡的”といえるのではないか。
ジャニーズ事務所のビジネスモデルが時代に合わなくなってきたこともある。いまだにイベントなどでの所属事務所タレントの写真、動画は使用不可である。ネット時代に逆行するルールだといわれて久しい。