今の課題をコツコツこなしていけば、語学学習のように、いつか大きく飛躍する瞬間が訪れます。そこまで根気強く努力を続け、夢を持ち続けられるかどうかが成功するか、しないかの分かれ道です。私はいつも課題に挑んでいますが、それをきついとは思いません。そういう生き方を自分の行動パターンにしているからです。前向きなら苦痛ではないのです。目の前の出来事を課題として意識し、好きになって楽しんで挑めば、いかようにも未来が広がっていきます。教会を造る石積み職人が石を積むだけの単調な仕事と思ったら苦痛ですが、人の役に立つことをしていると考えたら、喜びが生まれ、工夫するようになるのと同じです。

仮にうまくいかなくても失敗や挫折と感じません。今の結果を素直に受け入れて、そこからスタートすればいいのです。自社スタジオ建設など大きな投資は、最悪のケースも織り込んで決断します。投資が半分しか回収できなかったとしても、最善を尽くした結果であり、社員のモチベーション向上や会社の存在感アップになるのなら、投資価値はあったと考えます。

そして、私たちにとって最大の課題は、お客さんの人生に商品がどのように役立つか、具体的に考えることです。商品だけを見ている人は商品しか語れません。私は商品がお客さんの人生にどう関われるのかをいつも重視しています。この商品の購入が夫婦の会話が増えるきっかけになるのではないか。そういったことを常に考えています。私たちの提供する商品が人のために役立てるかどうかは、提案ひとつで変わります。実際、私が商品説明の言葉を変えただけで売れ行きが3倍違ったこともありました。買う人の人生にどういう形で役立てるのか、そこまで踏み込んで販売したら、きっとお客さんにも伝わるはずです。そして、そのことが、結果的に「売れるネタ」につながっていくのです。

※すべて雑誌掲載当時

(斉藤栄一郎=構成 笹山明浩=撮影)