「株式が最も報われる投資」だった、今までは

これまで多くの個人は、資産運用の際には「株式」と「債券」を中心に据えてきた。世界経済が成長を続けるという前提に立つのであれば、長期的には株式投資が最も報われることになるだろう。

このことを理論的に証明したのが、ペンシルベニア大学ウォートン・スクール教授のジェレミー・シーゲル氏である。

シーゲル氏は200年以上にわたる米国株の長期リターンを研究し、株式の長期投資が最も儲かるとの結論に至ったという。そして、「人々が努力する限り、それは企業活動にとってプラスとなり、そのプラスは企業の利益を生み出し、その利益は株価を押し上げる」と結論付けている。

市場ボラティリティ
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1802年に投資した米国株1ドルが150万ドルに……

シーゲル氏によると、1802年に米国株に1ドルを投資していれば、現時点で150万ドルになっているという。これは、217年間で米国株が平均6.7%上昇したことを示している。この数値は、この間の米国のインフレ率である平均1.4%を控除しており、名目の株価成長率は8.1%である。

一方、米国長期債に1ドル投資していれば、現在価値は2000ドル、金は3.4ドル程度にすぎないという。つまり、国債と金の場合の実質利回りは、年間平均でそれぞれ3.5%と0.6%でしかないということである。

数値で見れば、株式投資と債券・金への投資のリターンはあまりに違う。しかし、米国株式市場はかなり特別である。日本株への投資では、このようなリターンは得られない。現在の米国株は、一部のハイテク企業に資金が集中し、株価上昇の大半がこれらの企業の成長で説明できる状況である。