「かわいい子どもの写真公開」に潜む落とし穴
【リスク③ 無断転載や親子トラブルの危険性】
保護者が子どもの写真をSNSに投稿する場合も注意が必要だ。
確かに、遠方に住んでいる友人・知人にも子どもの成長を伝えたり、同じ年頃の子どもを育てる者同士で情報交換したりできるなど、保護者側のメリットも多い。子どもが幼い頃は、SNSによって孤独になりがちな子育てから救われることも少なくないため、完全に否定すべきではないと思う。しかし、リスクが向かうのは子どものほうだ。
リスクを感じる投稿は少なくない。インスタグラムには特に顕著で、「#パパとお風呂」などのハッシュタグをつけて子どもの裸写真を投稿したり、「#入園式」とつけて園名がはっきりわかる状態で子どもと撮った写真が投稿される例も散見される。
インスタグラムは仲間内でしか写真は見られない、と錯覚しやすい。しかし、実際はハッシュタグ検索で誰でも見られる状態だ。悪用のリスクをしっかりと認識しておくべきだ。
ある30代女性は、インスタグラムに投稿した子どもの写真が、海外のサイトに無断転載されていることを知った。「自分の子どもとして掲載されていた。まさか写真が悪用されるなんて」と女性は戸惑いを隠さない。他にも子どもの写真を保存したり、転載したりする人がいるかもしれないと怖くなり、それ以来、子どもの写真を投稿しないことにした。
子どもの写真が親子トラブルに発展した事例も
SNSに子供の写真を投稿していたことで、親子間のトラブルに発展した事例もある。2016年には、オーストリアに住む10代の少女が、自分の両親を訴えた。少女は、両親がフェイスブックに投稿した自分の幼い頃のおむつ交換やトイレトレーニング写真の削除を求めたが、両親はこれを拒んだことで訴訟になった。
幼い頃はただのかわいい写真でも、成長した子どもがそれを好意的に受け取るかどうかはわからない。一度公開した写真は、削除しない限りインターネット上に残り続ける。子どもが恥ずかしいと感じる可能性のある写真は、公開しないことが大切だ。
投稿して問題になっているのは両親だけではない。オランダのある女性は、自分の孫の写真をフェイスブックと写真共有サイト「ピンタレスト」に掲載。孫の母親である娘に削除するよう言われたにもかかわらず従わなかったため、裁判所から削除命令を受けた。