別の女子中学生は「付き合っている彼氏とインスタグラムにツーショットで写っていた」という嫌疑をかけられて、ひどいいじめにあった。「人の男に手を出す女」として、クラスで仲間外れにされ、SNSで誹謗中傷を受けた。何気なく投稿した写真がもとでいじめにつながるケースは少なくない。
友達との待ち合わせ場所に見知らぬ中年男性が……
【リスク② ストーカー被害、自宅特定で空き巣被害も】
最近目立つのが、写真から自宅を特定され、ストーカー被害に遭うリスクだ。自分の写真を公開することで、われわれはそれに付随して多くの情報を広く公開し、自らを危険にさらしているのだ。
ある女子高生は、放課後に友達との待ち合わせ場所に行ったら、「○○ちゃんだよね」と知らない中年男性に名前を呼びかけられたという。
「自撮り写真も公開していたし、ツイッター上で友達と待ち合わせ場所を決めていたけど、知らない人が見ているとは思ってもいなかった。学校とかもバレていると思うと怖い」
ある20代男性は、インスタグラムに投稿していた写真から空き巣被害に遭った。男性は、「#LOUISVUITTON」「#GUCCI」といったハッシュタグをつけ、所持している高級ブランド品の写真を投稿していた。
それが、犯行グループの目に留まった。男性が投稿した電車の遅延情報や行きつけの店などの情報から最寄り駅を特定。その後、所有する高級外車の前で撮影した写真や、男性が自宅前で撮った写真からグーグルストリートビューで位置関係や外観を確認して男性の自宅を特定した。そして男性が確実に留守にしているときを狙って空き巣に入ったというわけだ。
2019年9月には、女性アイドルの自宅前にファンの男が現れ、暴行を受ける事件が起きた。男は、女性アイドルがツイッターに投稿していた自撮り写真の瞳に写った情報から自宅を特定していた。男は他の投稿から沿線を把握し、部屋の位置まで特定していたという。
このような被害は世界中で起きている。たとえば米国人女優のキム・カーダシアンはフランス滞在中、総額10億円以上の宝飾品を奪われる強盗被害に遭った。この事件も、キムがインスタグラムなどに事細かに自分の行動や所持品をアップしていたためとみられている。