計算をやめると頭が動きだす

ここで極端な話をします。

もし数学の授業で計算を禁止したら、何が起こるでしょうか。

もちろん、現実を無視した極論です。学校の教師からは鼻で笑われるでしょう。

それでも、何が起こるのかを想像してみましょう。

計算漬けの授業では、生徒は計算という作業によってマルをもらえるのですから、当然、作業しかしなくなります。教師には「作業の仕方」を教えてもらおうとします。それだけで十分だからです。生徒が教師に「解き方を教えてください」としばしば言うのは、このような背景があるからです。

教師も、計算という作業さえさせれば授業が成立するのですから、失礼ながらそのほうが授業の準備はラクです。生徒も教師も、作業にかまけて「考えること」をしなくなっていきます。

深沢真太郎『数学的に考える力をつける本』(三笠書房)
深沢真太郎『数学的に考える力をつける本』(三笠書房)

しかし、計算なしの授業となると、教師は数学の本質を伝えなければならず、どう生徒に伝えるかに知恵を絞ることでしょう。その過程で、間違いなく教師自身が作業ではなく、数学コトバを駆使して思考しているはずです。

そんな授業は、おそらく生徒も数学コトバを使って徹底的に思考する時間になるはずです。教える側も教えられる側も、数学コトバを使って考え、本質をとらえようとするのです。

素晴らしいことだと思います。いったい何の問題があるでしょうか。

ここまでの説明で、数学とは、コトバの使い方を学ぶ学問であるという本質について、もう十分お伝えできたと思います。この本質を理解いただければ、いまからでもあなたは数学的な人物に変わることができます。そのエッセンスをビジネスだけでなく暮らし全般に役立てることもできます。

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