「対立を煽るパーソナリティ」の持ち主

ここに一冊の本がある。『危険人物をリーダーに選ばないためにできること』。著者であるビル・エディ氏は「対立を煽るパーソナリティ」の持ち主に権力を与えてしまうことの危険性を説く。トランプもプーチンもドゥテルテも、多くの死者を出した独裁者にはこのパーソナリティが共通していたそう。

ビル・エディ氏
ビル・エディ氏

エディ氏は対立を煽るパーソナリティを持つ人物──「対立屋」は、「ひどく人を騙すこと」があったり、「常に社会を分断せずには」いられなかったりと「極めて危険な政治家になる」と警鐘を鳴らす。また、「このような政治家を選出する傾向は世界的に広がりつつ」あるのだとも。

対立屋は、政治的信条や立場にかかわらず「どこにでも存在します。対立を拡大したり長引かせたり」し、「調整したり解決したりしません」

エディ氏は、対立屋は「みな同じような言動のパターンを共有」していると話す。

たとえば敵と見なして標的とした相手に執拗な非難を繰り返すことだ。また、何にでも白黒をつけたがり極端な解決策に走ることや「攻撃的な感情を抑制できない」考え方を抱いていることが多いという。また、きわめて否定的な言動を他者に対して行うこともよく見られるという。

対立屋たちはまた、他者を「よい人」と「悪い人」に分け、絶えずこの二者を対立させて話し続けることで集団を分断する。そうやって「支持者に標的を攻撃するよう教え込」むのだ。

「よい人」と「悪い人」で二分したといえば、豊洲移転問題が記憶に新しい。

川松氏は「小池氏は自身の選挙対策のパフォーマンスとして豊洲移転を止めた」と指摘する。

「元都知事の石原慎太郎氏も呼んで委員会をやりました。最終的には嫌疑不十分で何もなかった」(川松氏)。
「元都知事の石原慎太郎氏も呼んで委員会をやりました。最終的には嫌疑不十分で何もなかった」(川松氏)。(時事通信フォト=写真)

「いったん立ち止まるというのはよかったと思います。そのいったんがあまりにも長すぎて、たとえば環状2号線の工事も延期になりましたし、必要のない議論の時間を無駄に費やしてしまった。わかりやすく言うと、1つは百条委員会。元都知事の石原慎太郎氏も呼んで委員会をやりました。最終的には何もなかったわけですよ。

また、豊洲の土地を購入する費用について、購入すること自体がおかしいということで、石原氏を相手にした住民訴訟が起こされていました。小池氏は、もともと東京都が用意していた弁護団を差し替えて、新しい小池弁護団をつくって住民訴訟に臨もうとしました。この小池最強高給弁護団が最終的にどうなったかというと、石原氏に責任ありきで追及することはできないということで、従来の方針に戻ったわけです」(川松氏)

*自治体の事務に関して疑惑や不祥事があった際、事実関係を調査するため、地方自治法第100条に基づいて地方議会が設置する特別委員会。