権力の座に就くことに成功する

「いかさま王は敵と見なした人物や集団を激しく攻撃します。この感情戦によって、有権者は『熱烈な支持派』『憤る抵抗派』『おとなしい穏健派』『幻滅した棄権派』の4つの集団に分断されます。熱烈な支持派とそれに反発する抵抗派は感情的に対立し、穏健派は両者の対立的な姿勢にうんざりし、棄権派にも失望しています。棄権派は政治に背を向ける人々です。いかさま王はこれら4つの集団を紛争状態や膠着状態に巧みに保ち続けることで権力の座に就くことに成功するのです」(エディ氏)

パチンコ店だけが店名公表された。ここに「小池氏に軸のなさを感じる」(川松氏)。
パチンコ店だけが店名公表された。ここに「小池氏に軸のなさを感じる」(川松氏)。(時事通信フォト=写真)

そのようなリーダーを選んでしまわないために何ができるのか。

「重要なことはまず対立屋を見分けることです。パターン化され繰り返される手口を見極めるのです。これからも世界には対立を煽るパーソナリティや対立を煽る政治家が常に出てきます。対立屋の悪口は避け、情報に焦点を合わせるべきです。対立屋に対抗する候補者およびその支持者は、分断されたどのグループにも『ポジティブな感情的配慮』をしなくてはなりません。『支持派以外の3つの集団に仲間同士という感覚を生み出す必要』があるからです」(エディ氏)

エディ氏は、いかさま王たちが成人人口の40%程度以上の支持派を得ることはないと指摘する。

「他の3つの集団がまとまれば多数派になることができる」とエディ氏は述べ、対立を煽る感情戦に巻き込まれず、冷静でいることの大切さを強調する。

とはいえ当分の間、都民は小池都政と向き合っていかないといけない。何か解決策はないのだろうか。

「小池氏の俯瞰で物事を見る感覚や発信力は抜群に高いです。一方で、周りの人たちが彼女の能力を生かしきれていない。ブレーンとなる人間や実行力がある協力者がいればいい知事になるはずです」(川松氏)

ビル・エディ(Bill Eddy)
個人や組織が「対立屋」に対処することを支援する会社、HIGH CONFLICT INSTITUTEの共同創立者兼トレーニングディレクター。アメリカ、サンディエゴにある国立紛争解決センター、シニアファミリーメディエーター。最新刊は『危険人物をリーダーに選ばないためにできること』(プレジデント社)。
 

川松真一朗(かわまつ・しんいちろう)
1980年、東京都生まれ。日本大学法学部法律学科卒業。テレビ朝日アナウンサーを経て、2013年、東京都議会議員に初当選し、現職2期目。自民党東京都連青年部長。都議会自民党総務会副会長、都議会オリンピック対策特別委員、都議会公営企業委員。
 
(編集協力=梁 観児 写真=時事通信フォト)
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