アナリストが注目銘柄をピックアップ

新型コロナの打撃により、企業の業績予測が難しいことから、銘柄の選定が通常時よりも難しくなっています。今回は、過去の業績推移から、中長期で安定的に成長している企業の中から注目の銘柄をピックアップしていきましょう。スクリーニング要件はマネックス証券のスクリーニング「銘柄スカウター」を利用して選定しています。

<安定成長・スクリーニング要件>
通期で直近10年間の増収回数(売上高):7回以上
通期で売上高の成長率が3年間:10%以上
通期で直近10年間の増益回数(営業利益):7回以上
通期で営業利益の成長率が3年間:10%以上
通期で営業利益率の利益率が3年間:10%以上
自己資本比率:50%以上
(マネックス証券「銘柄スカウター」より抽出:6月19日時点)

「直近10年間に営業利益と売上高が7回以上伸びている」点は、10年間に安定的に成長を続けてきている企業を抽出し、売上高の伸びがあることで成長性のある企業を抽出できます。成長率については、「直近3年間の売上高の成長率が10%以上」「直近の3年間の営業利益の成長率が10%以上」「直近の3年間の営業利益率の利益率が10%以上」とかなり、厳しい基準に設定しています。中には20%を超える成長率を誇る企業も数社ランクインしています。「自己資本比率50%」は財務の健全を確保したい狙いがあります。ランキング順位は今期予想で営業利益の増益率が高い順にランキングにしました。今期予想が出ていないものもありますが、過去の業績推移が良い企業を見逃さないように、その点を含めてコメントしています。

グロース株が優位な時間帯

新型コロナウイルスの影響による経済の縮小に対応するため、超金融緩和策が各国で取られていますが、この金融緩和の期間が長期化することも予想されます。そのような中で、グロース株(成長性ゆえに株価の上昇が期待できる株)とバリュー株(割安感が強い株)のパフォーマンスを比べると、グロース株がバリュー株を上回っている傾向にあります。業績不透明な中で、その企業のもつ「成長性・独自性」に期待する動きとなっています。

ランキングのなかで、グロース株の代表例といえばエムスリーです。今期は予想を非開示としていますが、医療のデジタル化をリードするエムスリーの存在感は増しています。製薬会社が医師向けに医薬品情報を提供するサイトを運営しており、登録する医師は国内の約9割に及びます。医療サービスのオンライン化も追い風であり、非接触のサイト利用は急増し、株価は6月に上場来高値を付けています。「エムスリーしかない」まさに、替わりがない企業。オリジナリティの高さこそが、機関投資家の保有にもつながっています。

MonotaROも、グロース株・オリジナリティの高さのある企業の代表でしょう。事業者向け工業用品間接資材の通信販売「モノタロウ」と一般消費者向け通販を展開しています。月次売上高は前年同月比10.4%増、3月や4月の同20%強増と比較すると伸び率は鈍化しているものの、営業日数調整後ベースではここ2カ月と同様の伸び率を確保しています。企業活動低調な中で、底堅い売上推移の継続を評価する動きが優勢になっています。大企業向けが下振れするも、個人向けが好調で牽引役となっているようです。直近、10年間の増収増益は10回、3年成長率は売上高23.6%、営業利益18.6%と、高成長を続けてきている企業であり、コロナ収束後の景気後退局面でも成長が見込めるでしょう。