組織内で昇格させる人を、どのように選ぶか。業績を上げていた人がリーダーに向いているとは限らない。ゼネラル・エレクトリックで人材育成研修を行っていた田口力氏は、「昇格前に研修を行うことで、次のポジションに求められる心構えや能力があるかどうか確認することが必要だ」と説く――。

※本稿は、田口力『クロトンビル 世界最高のリーダーを育てる組織』(KADOKAWA)を再編集したものです。

フィードバックと評価の概念
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その人は「どうして昇格する」のか

たとえばある部門長が、昇進や異動、あるいは転職したとします。空席になったポジションを埋めるため、何人かの候補者が挙げられることになります。後継者プランを策定している場合は、その該当者を中心に検討されます。

ここまでは、多くの企業で一般的に行われていることだと思います。

問題は、「後継者候補の人たちが、空席になったその部門長の職務を十分に果たすことができる」ことの根拠を、何に求めるかということです。

多くの組織では、「現職で優秀な業績を挙げたから昇進させる」という論理に基づいて、管理職に登用したり、役員にしたりしています。しかし、「名プレーヤー必ずしも名監督ならず」という言葉があるように、一人のプレーヤーとして優秀であった人が、管理職としても成功するとは限りません。課長職では成功したけれど、部長になったら失敗したということもあるでしょう。その理由は単純で、それぞれの職務に求められる能力要件が異なるからです。