もっとも、いくら信頼関係が大事だといっても、依頼者の言い分を鵜呑みにし、感情的にも一体化してしまうようでは事件処理に支障が出る。パワハラ問題に詳しい加城千波弁護士は次のように指摘する。

「依頼者が怒りや悔しさのあまり感情的になったりすると、若い弁護士はそれに引きずられて冷静な判断ができなくなる場合があります。大切なのは依頼者の先々の人生ですから、その心情をよく理解して、ときにはなだめたりしながら、最適の着地点を探していけるのが頼りになる弁護士です」

別の切り口を示すのが「消えた年金」問題などに取り組む谷澤忠彦弁護士だ。「依頼者に方針を示せない弁護士はダメですね」という。どういうことか。

辣腕弁護士が考える「できる」弁護士の条件
図を拡大

「最初に依頼を受けた段階で、弁護士はその事件の筋読みをして、大まかな方針を立てます。これを依頼者にまず説明しなければいけません。ところが実際には、きちんといわない弁護士がほとんどだと思います」

一人の弁護士が手間ひまをかけて仕事をすれば、1年間に処理できる事件は「20~40件が限界」(B弁護士)だ。こうしたキャパシティの問題を、若手との連携でクリアしている弁護士もいる。東京で活躍するE弁護士がいう。

「中堅の弁護士には知識と経験があります。一方、若手には機動力と時間があるので、この2人がペアで動いている事務所は頼りになると思います」

では、こうした頼りになる弁護士には、どこへ行ったら出会うことができるのか。

前出の北村弁護士は「安全なのは各地の弁護士会に紹介してもらうことです。最高のレベルかどうかはわかりませんが、少なくとも問題弁護士を紹介することはありません」という。

テーマによっては労働弁護団や医療過誤弁護団などの組織を頼るべきだという声もある。まずは、そのあたりから当たってみるといいだろう。