「買い手」が見つかる前に物件を買い取る

そんなアメリカの不動産テックを支えてきたのが「Zillow(ジロウ)」「Opendoor」「Redfin(レッドフィン)」「Compass(コンパス)」という四つの企業。IT業界の巨人「GAFA」(ガーファ:Google・Apple・Facebook・Amazon)をなぞって「ZORC」(ゾーク)という言われ方までされています。

そのうちのひとつがOpendoorです。

Opendoorのビジネスモデルで特筆すべきなのは、業界でいち早く「iBuyer」を取り入れたことです。「iBuyer」とは、簡単にいえば、家を売りたい人からまず物件を買い取って、その後、転売するというやり方です。

通常不動産業務とは、仲介業が主なので「家を売りたい人」が出てきたら、「その家を買いたい人」を見つけて、その間を取り持つというビジネスになります。会社にしてみれば、リスクの少ない、安定した事業が可能なのですが、このモデルには「売れるまでに時間がかかる」という問題がつきまといます。

当然、売り主は「できるだけ高く買ってほしい」という思いを持っていますが、なかには「急いで現金が必要なので、より早く買ってほしい」「高く売れるに越したことはないが、とにかく急いでほしい」という人もいるでしょう。

売り主は「最短2日」で現金化できる

ところが、いわゆる仲介業務では、最初に設定した価格が高すぎてなかなか買い手がつかず、徐々に金額を下げるというプロセスがよくあります。一般に売却が完了するまでの期間は2カ月ほど、長い場合は半年ほどかかるといわれており、物件の内覧希望者が現れるたびに掃除をしたりと、その手間と時間的ロスが、とにかくストレスなのです。

そんな問題を大胆に解消してしまうのが「iBuyer」。とりあえず、会社がすぐに買い取ってしまうというビジネスモデルです。

Opendoorの場合、売り主はオンライン上のシステムに物件情報を入力すると、複雑なアルゴリズムを用いて即座に物件の査定がスタート。数日後には、おおまかな買取価格が売り主に提示されます。それに売り主が納得すれば、即買い取る。売り主は最短2日で現金化できるのです。

もちろん、一般的な査定価格よりやや安くなる可能性があるといったマイナス面もあります。ただ、それを受け入れてでも「早く現金化したい」という人にとっては非常にありがたいサービスです。