三井物産、全日空ら日本企業とも提携

これは地中燃料をほとんど持たない日本にとっても朗報で、事実LanzaTechのCEOジェニファー・ホームグレン氏は、「原料を常に輸入に頼らなくてもよくなるという点で、炭素の再利用技術は日本の将来にとっても重視すべきものだ」と語っています。

実際、LanzaTechは日本企業ともつながりが深く、2014年には三井物産が中心となって6000万ドル(約66億円)の増資を行っており、2019年には全日空が同社のテクノロジーによって製造されたエタノールを使ったバイオジェット燃料の購入を決めています。

今や世界のビッグビジネスにとってサステナビリティは重要なテーマであり、航空業界ももちろん例外ではありません。全日空も「サステナビリティで世界をリードする企業」「環境リーディングエアラインを目指す」と表明しており、彼らの目指す姿にLanzaTechのテクノロジーはぴったりとフィットしています。

「ライセンスを売る」ビジネスモデル

これからますます活躍が期待されるLanzaTechですが、この会社が目指す姿は、世界中に自社の巨大プラントを作り、クリーンエネルギーをどんどん作ることではなさそうです。

むしろ、世界中の工場にLanzaTechのテクノロジーをライセンス販売するビジネスモデルを考えています。既存の工場がエタノールを作り始めた段階で、その売上げから一定の割合を得ていくというものです。

世界中には排気ガスを排出している工場が無数にある一方、産業排気量の規制がどんどん厳しくなっています。

規制を受ける工場が(たとえば、それぞれの国の支援を受けながら)LanzaTechのテクノロジーを使用していくというのは、持続可能性を感じさせる現実的なビジネスモデルといえるでしょう。自社の持ち物を多くするのではなく、テクノロジーを売っていく――。そんなビジネスができるのも、やはり革新的な技術を持っているからです。