「6月末までの不要不急の外出自粛」で一変した風景

「Aloha! 今のワイキキビーチです。いつもは賑わうビーチには、これしか人がいません」。ホノルル在住の日本人Imakenさんはロックダウン中の4月1日、ハワイ各所の現状を映像で伝えるため、YouTubeに「Imaken Hawaii」チャンネルを開設した。ホテルやショッピングモール、ビーチやメイン・ストリートなどを訪ねては撮影した動画を毎日1本以上、2カ月間投稿し続けている。

人影まばらなヒルトン・ハワイアン・ビレッジ前のビーチ(5月10日)
写真提供=Imaken
人影まばらなヒルトン・ハワイアン・ビレッジ前のビーチ(5月10日)

ハワイの中心地、オアフ島のワイキキ周辺ではカラカウア通り、ロイヤル・ハワイアン・センター、DFSやアラモアナセンターなどImakenさんが撮影した映像には、かつてとは違う非日常的なホノルルの街が収められている。日本人観光客にも人気の名所が、わずかな地元人以外人通りがなく閑散とし、観光客でごった返していた風景からは一変した。

現地では3月下旬から4月末までロックダウンが実施され、州内の新規感染者数が0人の日も続くようになった。現在は、経済活動を段階的に再開しながら6月末まで不要不急の外出自粛を市民に求めている。外出時にはマスクの着用が義務づけられ、アメリカ本土など州外から到着した来訪者は引き続き14日間の自主隔離が必要とされている。それに違反した観光客が5000ドル(約54万円)の罰金を科せられる例もあるようだ。

ロックダウン後は人員削減を行い耐え忍ぶ

5月には百貨店のニーマン・マーカス、衣料品のJ.クルーなどのアメリカ企業が経営破綻した。ワイキキ周辺でもそれらの店を含めショッピング・センター内の店舗や繁華街の路面店はほとんどが臨時休業、飲食店はテイクアウトに限り営業が許可されている。観光客向けのホテルでは入り口に見慣れない鉄柵ゲートが設けられ、ドアの前では警備員が立ち、数少ない宿泊者だけを通し、それ以外の訪問者は入場を断っていた。

観光収入が州経済の約2割を支えるハワイには2019年、アメリカ本土に次ぐ155万9000人が日本から訪れた。アクティビティ・ツアーやブライダルなど日本人客向けにサービスを提供する現地および日本資本のビジネスも多いが、ロックダウン以降はスタッフを日本に帰休させたり、一部営業している旅行会社も営業時間短縮やレイオフによる人員削減などを講じたりして、耐え忍んでいるようだ。