eスポーツならではの強みを痛感した
3戦を通じてのナスリ自身の試合結果は、マレーシア戦が2‐0、チャイニーズ・タイペイ戦が2‐1、シンガポール戦が0‐0の2勝1分け。本来なら全試合ワンサイドゲームでの3連勝が妥当な成績なのだが、世界ツアー戦とは異なる不慣れな大会独自ルールと、国を隔てての通信による画面のタイムラグで、実力差が反映されにくい環境となってしまった。
「攻めも守りも、難しい戦いでした」
一方の岡崎が現役サッカー選手同士の戦いで1勝2敗だったため、日本の最終順位は3位。しかし4日間を通じ、これまでにない手ごたえを得られたとナスリは言う。
「大会中、僕のツイートへのリプライという形でいろいろな方に励ましていただきました。そして試合を中継した動画のコメント欄には、初めてFIFAの試合を見たんだろうなっていう人からのコメントがたくさんあったんです。リアルなサッカーだけを見てきた人が観戦してくれたのはすごくうれしいし、新しい層からの注目度は確実に上がってきています。オンライン対戦の大会は、出場選手も観客も自宅にいるままで参加できる。これはeスポーツだからこその強みで、今の日本のような状況でまさに必要とされる娯楽なんだと実感できました」
家でゲームしているだけではなかった!
Jリーグや日本サッカー協会は、eスポーツ・サッカーの選手に今後より多い活躍の場を提供していく意向だ。さらに今季Jリーグの再開への具体的なめどがまだ立っておらず、サッカーファンが喪失感を抱えたままの現状を考えると、中断中にリーグ主催でeスポーツ・サッカーの大規模な国内大会が急遽開催される可能性も十分ある。
「やはりプロは、プレーを披露できる場があってこその存在です。僕は鹿島に加入して以来、クラブの看板を背負って国際大会に出たのはまだ1回だけ。だから国際大会であろうと国内大会であろうと、鹿島のサポーターの皆さんにもっともっと自分を知っていただける、応援していただけるような活動をしたい。そうした場を与えてもらえたら、次は優勝一点狙いでクラブにタイトルをもたらすことができるよう、がんばるつもりです」
実現すれば、それは“鹿島のナスリ”としての初戴冠となる。