「すぐ激高し、罵声を浴びせる」家事・育児に一切協力しない夫
今回、取り上げる金田知子さん(仮名、58歳、関西在住)は、少し前まで夫と息子の3人暮らしだった。しかし、いまは88歳の母親と2人暮らし。母親を週5日デイサービスに預け、その間にパートに出ているが、生活はギリギリだ。
金田さんの父親ががんで亡くなったのは19年前のことだ。
「母は当時69歳でしたが、人生で初めての一人暮らしを満喫していました。不安もあったようですが、長い間祖父母や父の介護で自由に外出ができなかったため、数年ぶりの自由がうれしかったようです。息子ともよく遊んでくれました」
その頃、金田さんは「大学で知り合った」という夫に頭を悩ませていた。夫は結婚してから、家事も育児も一切協力してこなかった。
「息子がまだ小さい頃、高熱が出て、頭痛を訴え始めました。車の運転ができない私は、夫に『病院まで車で連れて行って』と頼みましたが、『今、食事中! 悪いなら救急車を呼べ!』と取り合わず、息子がインフルエンザになったときも、『今、手が離せない! タクシーで行け!』と怒鳴られました」
夫は息子の入学式や卒業式、授業参観には、一度も顔を出さなかった。金田さんが意見すると激高し、少しでも気に入らないことがあると不機嫌になり、金田さんのことを無視し続けたり、罵声を浴びせたりした。
「暴力こそないものの、物にあたって大きな音を立てることはあり、ものすごく怖くて、夫の顔色をうかがって暮らしていました」
そして2014年3月。息子が高校を卒業したとき、金田さんに言った。「このままここにいたら母さんが父さんに殺されてしまう。僕は社会人になったら父さんと縁を切る」。
「そこまで息子が心配してくれていたことに驚きました。できることなら、私も夫と縁を切りたい。でも、経済的に自立する自信がなく、すぐには離婚に踏み切れませんでした」