「銀行に就職したら一生安泰」は過去のもの
コロナショックがもたらしたのは、既存の秩序の解体と、再編です。特に、これまで何をしなくても「儲かる仕組み」を作れていた業界ほど、その“解体”のリスクに晒されます。
たとえば、銀行。
現在の銀行業界では、日本銀行の「異次元の金融緩和」により、貸出金利が低下し、本業である預貸業務の収益の縮小化が進んでいます。
さらに今後、国内人口の大幅な減少により、資金需要の伸びは大きな期待が持てません。現在は国債の金利が低いため、その運用先は限られています。そのうえ、日銀の当座預金を増やせば、マイナス金利がかかってします。
にもかかわらず、銀行業界はデジタル化への投資を進める必要があり、コストはかさむばかり。こうした銀行業界にもたらされた大変化により、資金力のない地方銀行は淘汰再編が進むでしょう。すでに、19年7月には横浜銀行と千葉銀行が業務提携を発表し、19年9月にはSBIホールディングスが「第4のメガバンク」を掲げて地銀に資本提携を呼びかけており再編が始まっています。「銀行に就職したら一生安泰」などという言葉は、もはや完全に過去のものとなりました。
総合商社ですらも危うい状況に…
銀行同様、毎年大学生の「就職したい企業ランキング」で上位に入る総合商社も厳しい状況に置かれています。
総合商社は、さまざまな商流の中に介在して手数料を取ることがメインの事業です。しかし、今後は商社を含め、「仲介」そのもの意味が問われてきます。さらに、商社は資源バブルで得た利益を次なる投資にうまく生かせていのが現状です。
また、総合商社は「非資源に力を入れる」と言いながらも、爆大なお金が動く資源事業に目が行きやすく、依然資源事業に力を入れていることからも変化への対応が遅れていることが伺えます。今後は、非資源事業に取り組まなければ、総合商社ですらも危うい状況に立たされます。