どんな企業に投資すべきか?
ここまでは米国株の平均的な上昇について説明をしてきた。では、個別の企業の株に投資をしていく場合、どのような企業に投資をすべきなのか? シーゲル教授の答えはこうだ。
“The best PERformance often follows a PERiod of poor PERformance. So, investors should not get so discouraged that they abandon the value strategy.”(最高のパフォーマンスは、よく低調期の後に訪れる。投資家は低調なパフォーマンスに落胆してバリュー株戦略をやめてはいけません)
これはどういう意味か。この10年間、AmazonやNetflixなどPERが80倍~100倍以上あるような企業(グロース株)が、株価上昇を続けてきた。これらの企業に投資していればよかったと、悔しい思いをしてきた投資家も多くいるだろう。しかし、だからといって一般投資家がPER20倍や30倍の企業への投資をやめて、高PER企業への投資に切り替えようとするのはオススメしない、ということだ。シーゲル教授の研究データでは、長期でみればPERが低い銘柄(バリュー株)ほど株式投資の利益が多く出ているのだ。
シーゲル教授は去年9月の時点で「FRBが金利を下げれば、金利のつかない債券の魅力が下がり、高い配当がもらえる割安な株を保有しようと考える人が増えるだろう」と私たちに語っていた。そして、その後、コロナ相場となり、現在FRBは金利を引き下げた。今年5月、シーゲル教授と電話で話した時には、「今、大量の現金が国民の財布に投入されているため、数年後に3%~4%のインフレがくる。その時に、株投資が最も恩恵を受けるだろう」と話していた。今後、米国では低PERの割安株が日の目を見るかもしれない。
私がこの記事でお伝えしたかったことは、コロナ相場の今、米国株投資という選択肢は悪くないだろうということ、そして、米国個別企業に投資をする場合はPERが高い企業と低い企業をそれぞれ比較し、しっかりと考えてほしいということだ。人気であがっている株はいつか人気が消滅すると下落に転じる。長期で投資に勝ちたい人にとって、今回の記事が少しでも参考になれば幸いだ。