自覚がない自分への攻撃にも注意

怒りを自分に向けて、自ら心と身体を痛めるような行為をすることについて、なかなかピンとこないという人もいます。

以前、ある企業のアンガーマネジメント研修にて、40代の管理職の女性から質問を受けました。

「他人に暴言を吐いたり、暴力的な行為をしたり、物に八つ当たりをするというのはイメージがわくのですが、怒りが自分に向かうというのがよくわかりません」

と言うのです。ところが、この彼女こそが、自分の身体を痛めている人でした。

昼食を一緒にとったとき、職場の体制が古くて上司も理不尽なことばかり言ってくる。自分の部下たちは一生懸命仕事をしているのに、部下たちに申し訳ないと憤りを覚える日々。ここ数カ月は頭痛がするので、毎日頭痛薬を飲んでいる。強い頭痛薬を毎日服用するのはよくないとわかっていても、やめられない。

そんな状況だというのです。

それこそ、まさに自分に向けた攻撃的な行為なのだとお伝えしたら、彼女は、ハッとした顔をしていました。

組織や上司が変わらないことへの憤り。管理職として部下たちに何もできない自分自身の情けなさや申し訳なさからくる怒り。それらを、溜め込むことで、頭痛という反応が出て、身体には悪いと思っていても、薬を飲み続ける。

これは、本人は自覚していなくても、無視できない自虐的行為です。

このように無意識に自分を傷つけてしまう人も増えてきています。

あなたや周りの方々にも、心当たりがないか、振り返ってみてください。

ストレスは発展的に解消しよう

怒りの気持ちに振り回されないためには、健康的なかたちでストレスを発散することです。なかでもおすすめなのが、スポーツです。スポーツのなかでも、とくに有酸素運動がいいですね。

ボクシング、ボクササイズはかなり過激な運動なので、アドレナリンが出て、かえって興奮する可能性があります。ですから、ストレッチやヨガ、ウォーキング、ジョギング、水泳などがいいでしょう。有酸素運動をすると、セロトニンという気分を高揚させるホルモンが出るので、気持ちも落ちつきやすくなります。

ほかには、寝不足が原因でイライラするのであれば、ゆっくりと睡眠をとること。自分の気持ちがラクになること、楽しいと思えることをするといいでしょう。

女性なら、ちょっと疲れてイライラするときには、マッサージに行ったり、エステに行ったりする。ゆっくり温泉に行くことが難しければ、自宅のお風呂で香りのよい入浴剤を使ってゆっくり入る時間をとるのも、リラックスできますよね。

ほかには、好きな音楽を聞いたり、好きな本を読む時間をとってみる。

もし車の運転が好きならば、気分転換も兼ねて車で移動したり、ドライブするのもいいでしょう。

自分なりのお気に入りのメニューを持っておけるといいですよね。