「学校の一員として大切な存在」と伝えたい

時間割通りに行うのは、授業だけではない。生徒たちは「オンライン朝の会」と「礼拝」で1日を始めているのだ。

「朝の会は連絡事項を伝えるとともに、自分はクラスの一員、学校の一員として大切な存在なのだという気持ちを持たせる目的があります。また、オンライン朝の会の前には礼拝をしています。本校は130年の歴史のなかで、プロテスタントのミッションスクールとして礼拝を大切にしてきました。生徒の精神の大きな支えにもなっておりますので、そのメッセージを家庭でも聞けるようにするのは、当然の配慮だと考えています」

礼拝は双方向ではない配信の形をとり、オンライン朝の会はクラスごとにビデオ会議を開く。礼拝と朝の会の間には「健康観察」の時間があり、生徒は配布済みのシートに体温、頭痛、倦怠感、関節痛、喉の痛み、咳、鼻水・鼻づまり、味覚異常の有無を記録している。

中学生からは「『廊下』のビデオ会議も開いてほしい」という要望もあった。学校の廊下でクラスメイトと雑談をするような会話の時間を、教師も出席する形のビデオ会議でお昼休みに作ってほしいというリクエストだった。現在のところ、昼休みは昼食の準備や片付けを考慮し、1時間を設定している。

2012年より全生徒がiPadを所有

なぜ、4月1日にオンライン授業を決定し、4月13日から始めるというスケジュールが可能だったのか。同校では全生徒がiPadを所有している。2012年からiPadを活用した授業を行っており、全生徒が中学1年の9月にiPadを購入する。生徒個人のアカウントもあり、これがオンライン授業を迅速に始めるアドバンテージとなったという。

「デバイス以上に力になったのは、保護者の方々の理解と教職員の働きです。中学1年生に至っては、本来なら9月に購入するはずだったiPadを保護者に前倒しで購入していただき、家庭で設定をしてもらいました。教職員はこれまでオンライン授業をしたことがありませんので、学習会を行い、登校授業とオンライン授業は違うことを伝え、準備を進めました。非常勤講師の先生方にも、全面的にご協力いただいております」