相手をひたすら観察し「何が好きか」の情報を集めていた

そしていざいってみると、とても楽しい。私たちは時間を忘れてその書店で過ごし、夜になるとそのまま「めしでもいこっか」と食事をすることに。お店では1日に10万円も使ってもらっているはずの私が、なんと無料で「1日デート」に付き合うことになってしまったのでした。

あとから聞いた話では、彼女はふだんからひたすら私を観察し、「何が好きか」の情報を集めていたようです。

実に賢い。相手が好きなものを提案すると、通る可能性もまた高まります。図らずも、私が身をもって証明してしまいました。

「明確なメリットを提示する」。ビジネスの世界では基本中の基本でも、それをプライベートでできている人は意外と少ないものです。

効果は絶大。試してみてはいかがでしょうか。

相手のリスクを「ゼロ」にして軽く連れ出す

ただ、中には、どんなにメリットを提示して誘っても煮え切らず、デートに応じてくれない相手もいます。

そんなときには、相手のリスクを「ゼロ」にして、デートに対する心理的負担を減らしてあげましょう。

相手のリスクを「ゼロ」にして、とにかく体験してもらい、よさをわかってもらう。いわば通販の「お試し体験」と似た手法です。

ホスト時代の私は、まだホストクラブで遊び慣れていないお客さまに「返金保証」をしていました。

「つまらなかったらお金は返す。だからまた遊びにきてよ」

こう誘っていたのです。

楽しかったらお金を払って満足し、仮につまらなくてもお金が戻ってくる。お客さまからすればリスクは「ゼロ」です。だから安心して遊びにきます。

失うものがないのなら、試してみようかと考える。これが自然な心理です。

マーケティングには「リスク・リバーサル」という言葉があります。

「リスク(心配や不安などの心理的負担)」を「リバーサル(逆転)」するから、リスク・リバーサル。まさに、商品を購入する際の「不安」を販売側が引き受け、相手の心理的ハードルを下げて購入してもらうという「逆転」の手法です。

私が行っていた「返金保証」は、リスク・リバーサルに基づいて取り入れたシステムだったのです。