本当にメリットがあるのかを、冷静に判断することが大事

セットの内容がどれも食べたいものであれば、単品で買うよりお得です。しかし、単品価格より安いという理由でたいして食べたくないのにセットを選ぶのは無駄遣いになります。たとえば正月の福袋。単品価格の合計よりもかなりお得ですが、不要なものが入っていて後悔した経験はありませんか。抱き合わせの商品を購入する際は、本当にメリットがあるのかを冷静に判断することが大事です。

ここまで見てきたように、人間は必ずしも合理的に行動するわけではありません。買い物や投資などの経済行動もその時々の感情や気持ちが少なからず作用しています。そうした人間の心理や感情的な側面をベースに分析する学問を「行動経済学」と言います。企業のマーケティング活動はそうした人の行動を読んで展開しています。ですから意外なことに賢い人ほど騙されたりします。自分は賢いと思っている人は合理的、ロジカルに物事を考えるので、逆に売り手側にとっては行動を予測しやすい面があるからです。したがって消費者側も行動経済学の知識を得て、売り手の巧みな誘導に乗せられることなく、真に賢い消費者になりたいものです。

(構成=田之上 信 撮影=大崎えりや)
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