好きじゃないとできない仕事
先月、トラックドライバーたちにとって非常に大きな出来事があった。ガソリンスタンドのシャワールームの利用停止だ。
実は大手ガソリンスタンドには、トラックドライバーのためにシャワールームを開放している店舗が日本各地にあるのだが、4月中旬に感染拡大防止対策として同所が次々に閉鎖された。
これに対し、一度家を出たら1週間以上帰れないことも多い長距離トラックドライバーたちから早期再開を求める声が多く集まり、結果的に1週間程度で閉鎖は順次解除されたのだが、今回ドライバーに「その間どのように過ごしていたのか」と聞いたところ、「公園の障がい者用トイレで頭を洗った」「コンビニのお湯を拝借して体を拭いた」「ガソリンスタンドの洗車用の水を使った」といった驚愕の状況が次々と報告されてきた。
が、何より驚いたのは、当の本人たちの口調だ。これらのエピソードを、彼らはまるで武勇伝のように笑いながら語る。
「洗車用の水、飲んじゃダメな水(笑)」
「歯も磨いたことあるけど……飲んでるかもしれません(笑)」
「消臭のために『ファブリーズ』を自分に振りかけていたが、『トイレその後に』を振りかけてた人がいて負けた気がしました(笑)」
「赤ちゃんのお尻拭きシートのコスパが最高だと聞いて実際体拭いてみたら最高でした! 純水99%。アトピー持ちには助かります」
こうしてドライバー同士あっけらかんとその境遇を笑い合う根性と、仕事に対する愛を見た時、彼らにとってトラックドライバーという職は「底辺職」ではなくむしろ「天職」なのだと再認識したと同時に、“にでも”な転職組には務まらないなと改めて思うのだった。