「テレビショッピング」を分析する

どのような「順番」で話を進めればよいのか。

参考になるのはテレビショッピングです。

たとえば高枝切りばさみを売るとして、テレビショッピングではいきなりその高枝切りばさみを見せたり、「お値段はこちら」と結論を言ったりはしません。

まずは「高い位置にある枝が切れない」と悩む、背の低い人や高齢の人が登場。従来の枝切りばさみを使って切ろうとしてもうまくいかず、四苦八苦します。

そこで満を持して、今回の売りものである高枝切りばさみの出番です。この高枝切りばさみを使うと、さきほどまで枝を切るのに苦労していた人も、らくらく切ることができます。

十分にメリットや機能を説明したところで、いよいよ値段を提示します。視聴者はすでに「なんて便利なはさみなんだ」と感動していますから、値段が少々高くても、「このはさみがほしい」と考えます。

値段を先に出しても聞く耳を持ってもらえない

もしもテレビショッピングの冒頭で、いきなり値段を提示していたらどうでしょう。視聴者はきっと値段だけを見て、「普通のはさみより高いな」と感じるでしょう。その後でどれだけメリットや機能を説明しても、聞く耳を持ってもらえないおそれがあります。だからこそ「価格の提示」は「メリットや機能の説明」より後なのです。

そしてダメ押しが「おまけ」。「今ご購入いただいたら、さらにこちらもついてきます」と、高枝切りばさみと一緒に使うとさらに便利な、さまざまがグッズがついてきます。視聴者は「今買ったらお得」「むしろ、今買わなきゃ損」と感じ、電話をかけてしまうのです。

実によくできたパッケージです。